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白ワインから得た心地よい浮遊感を楽しみながら、2人は夜のブルックリンを散歩していた。レストランやバーから聞こえてくる話し声や、ジャズはこの街の夜には欠かすことができないものと言えるだろう。

 冷たい風が2人の頬を撫でれば、Aは思わず「寒い」と小言を漏らす。


「コーヒーでも買って戻るか?」
「悪くないね」


 ブルックリンのカフェは美味しいコーヒーを出す店が多い。

 ディナーの後に、眠る前にコーヒーなんてどうにかしていると思われてしまうかもしれないが、飲みたいものは飲みたいし、とにかく今は温かいものを手元に持ちたい。

 この2人が手を繋げば、もしかしたら暖を取り合うことができるかもしれないが...Aは手を繋ぎたがるような人間ではないし、交際期間も1年半を突破しているがベッド以外でキスを積極的にし合うような関係に...2人はなかった。

 街灯と、店の明かりが照らす道をスタスタとそれぞれのペースで歩き去るような、カップルなのだ。
(もちろん、先を歩くのは協調性というものを持ち合わせていないAである。)


___



「...待って」


 ホテルにほど近い区画、昼間に見つけたスタイリッシュで一目惚れするのも無理はないカフェまで、あと数メートルというところで、Aの足が突然止まった。

 彼女の視線の先には冷たいコンクリートの壁面に、背の高いガラスの扉がついた画廊があり、そこには多くの人々が集まっており、エントランスにはたくさんの花が飾られ、" OPEN "と白いネオンが輝く。

 軽い足取りの2人は無言のまま、吸い込まれるように、今度は肩を並べてそのギャラリーへ足を踏み入れるのだった。


 洗練されたクラブミュージックが流れる室内。その黒い壁面には、数々の現代的なアート作品が飾られており、それにAは目を輝かせる。


「アートパネルかぁ...そろそろ変えようと思ってたんだよね」
「一応聞くが、どの壁のパネルだ?」
「寝室、いつも寝る時に足を向けている方の壁」


 降谷は「ああ、いいかもな」と返事をしながら、Aの好きそうな白と黒だけの世界を見つけようと壁をぐるりと見渡す。


広い余白の中央に佇む曲線のドローイングアートや、モノクロの世界に閉じ込められたマンハッタン。


 様々な作品がそれぞれの美しさを誇る中、降谷は1枚のアートの前で足を止めた。同時に彼の左腕にはめていた腕時計は22時38分を指す。

 その作品との出会いは、まさに運命的で...衝撃的なものであった。


「これ、イイね」
「...ああ、同感だ」

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(プロフ) - 全部面白い!続き読んで見たいです!皆さん、頑張って下さい! (2018年9月24日 20時) (レス) id: 4b63d11e04 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 正直、どストライクです…!時間ごとにそれぞれの贅沢が詰め込まれていて、読んだことのない作品の主人公にもとても惹かれるものがありました。また時間を見つけて全ての作品を読ませていただきます。この上なく贅沢な時間をありがとうございました。 (2018年9月24日 17時) (レス) id: 4ee63399c0 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:SNYZ | 作者ホームページ:https://twitter.com/nnn_zcn  
作成日時:2018年9月24日 16時

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