7.ブレインウォッシュ(伊奘冉一二三) ページ7
ブレインウォッシュ
罪悪感で死にそうになりながら店を出た。あああ、このまま死ぬまでずっとこの感情に脳髄を喰われるだけなんていやだいやだいやだ！！！！
うごめくレッドライトを待つ49秒、叫び出しそうになった。
ねえ、Aちゃん、会いたいよ。きみだけだよ。俺のすべてすら、きみだけの所有物だよ。その事実だけが俺をこの世に繋ぎ止めている。
「Aちゃん。」
Aちゃんのお家に入るのは久しぶりだ。ずっとずっとずっとずっと会いたくて、だからあんなお仕事も頑張ったんだ。Aちゃんがいるのに他の女のひとに甘言を撒き散らしてごめんね。いつも夜ひとりにしてごめんね。連絡もあんまりとれなくてごめんね。あまりにも罪深い俺を、どうか、ゆるして。
Aちゃんの部屋に入ると、もう彼女は寝息をたてていた。ああ、かわいい寝顔。好き。好き。好き。好きだよAちゃん。布団からはみ出ている手を握る。指を絡めれば、もうこの世界には俺たちだけだよね。白い頬を、赤いくちびるを撫ぜる。Aちゃんは俺には全く気づかずに、すやすや眠り込んでいる。いとおしさで、胸がじんわりあったかくなるのを感じる。
なんて幸福な時間なんだろう。甘く、温く、ゆったり流れる深夜3時。好き。Aちゃん。今日も目を覚ましてくれないの？俺っち、ちょっとさみしいな。ううん、でもね、きみが隣にいてくれるだけでいいんだ。それだけで、また明日からもがんばれるから。たとえ俺の片想いだったとしても、俺、ぜったい諦めないからね。
「愛してるよ。」愛してる。その言葉を、まるで洗脳するみたいに、耳元で囁いてキスをした。御呪いのようなくちづけ。きみにも魔法がかかりますように。いつか違う女に吐いた甘言に吐き気がした。
「Aちゃん、また来るね。」
玄関を出て鍵をかけた。
ほんとはね。俺以外の人とは関わらないでほしい。俺以外をきみの世界に入れないでほしい。
だけどあんまりワガママだと、きみに嫌われちゃうから。そう、俺は嫌われたくないだけなんだ。ただ弱いだけなんだ。きみがいてくれなきゃ、俺はぜんぜんダメなんだよ。
ねえ、いつかここが、きみと俺だけの箱庭になるように、俺、いっぱいがんばるからね。
だから、俺だけ見て。俺だけ。
俺だけを、愛して。
ー
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タメィゴゥ - めちゃ面白かったです！ド好みです！ありがとうございました！ (2019年12月23日 18時) (
レス) id: 98d1675711 (このIDを非表示/違反報告)
43沿い(プロフ) - タメィゴゥさん» リクエストありがとうございます！そういうのめちゃ好きです！遅くなるかもしれませんがサマトキ了解しました！ (2019年12月4日 1時) (レス) id: 8c7ee14403 (このIDを非表示/違反報告)
タメィゴゥ - すみませんリクエスト良いでしょうか？ もしよろしければ左馬刻様が夢主にでろでろに依存してしまい離れられないお話を書いていただけませんでしょうか？ リクエストがもはやキャラ崩壊ですがよろしければお願いします。<(_ _)> (2019年12月2日 19時) (レス) id: 78b2b55a96 (このIDを非表示/違反報告)
43沿い(プロフ) - 林檎麻さん» こちらこそありがとうございます！！！はらいくうこうくん、了解しました！ちょいムズですね…がんばります (2019年11月6日 21時) (レス) id: 8c7ee14403 (このIDを非表示/違反報告)
林檎麻(プロフ) - いつも素晴らしいお話をありがとうございます…とっても好きです…愛してます…。リクエストでよかったら波羅夷空却くんをお願いしてもいいですかね…??応援してます…!! (2019年11月3日 2時) (レス) id: 5fe5e3438d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：43沿い | 作成日時：2018年8月31日 0時
