Love and Dependence Ⅱ (ページ11)

今日:2 hit、昨日:6 hit、合計:28,843 hit

55. ページ11

＿＿nb

ラウールと動物の動画を一緒に見てた時。

微かに香ったんだ。

あいつの匂いが。

ｎ「……わり、帰るわ。」

なんかここにいたくなくて、逃げるように店を出た。

それが間違いだったんだ。

店を出た途端にその匂いが濃くなって、自分のなかの “ Ω ” の部分が一気に呼び起こされる。

なんでなんで、いるわけないじゃん、あいつが。

パニックになりながらもここでヒートになるのはまずいと、抑制剤をカバンの中から探す。

ヒートになったところで、俺の匂いが分かるのはあいつだけだけど。

カバンの中を漁っても抑制剤は出てこなかった。

あ、店の中に薬ケース忘れてきたかも。

上がる体温に何とか耐えて店の中に戻って薬を回収して、ふっかがなんか話しかけてきたけどもう覚えてない。

トイレに駆け込んで個室に篭もる。

錠剤の抑制剤を水なしで飲み込んだ。

あとは効くのを待つだけ。

もう何年も会ってないのに匂いがしただけで欲情して。

自分の体が気持ち悪い。

身体中の血管がドクドクして、心臓が苦しくて、

お腹の奥がきゅうってなって、あいつを欲して、

考えれば考えるほどだめだ、落ち着こう。

息を深く吐いた。

何も考えるな、考えるな、そう言い聞かせながら大きく息を吸う。

すると身体が急に今までの比じゃないくらいに熱くなる。

さっきよりも濃い匂いがしたから。

ｎ「…っ！？なに、これ、っん……」

ヒートなんて小学生のあの日以来。

感じたことの無い欲に戸惑い、ポロポロと涙があふれる。

すると誰かの足音とあいつの匂いがどんどん近づいてくる。

俺は口元を塞いで吸わないように耐えるしかできなかった。

？「いるんでしょ！お願い！！開けて！！開けてよ！！！！」

目と鼻の先にいるんだ、あいつが。

何年も会ってなかった、俺の、番。

ドンドンドンとドアが叩かれる。

ｄ「開けろ！翔太！！！！！！！」

あの時はさ、今みたいにトイレで籠る俺を助けてくれたよな。

ヒーローみたいなあいつはもういないのか。

あいつも俺も、欲まみれだな。