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明日で今年が終わる
マフラーを口元までぐるぐると巻いているのに寒くてかじかんだ手でカイロを握る。
17歳
私の心はいつからか靄がかっている
共働きの両親の愛は感じるけどいつもどこか独りな気がするし
学校では嫌なくらい未来について考えさせられる
17年しか生きていない子供にこれからの長い未来を決めさせるなんて大人はどうかしている
そんなどうかしている大人はこんな17歳を
"難しい年頃"
その一言で片付ける
そう聞いたとき誰かに相談するのは馬鹿らしくなって毎日この靄を独りで大きく育てている。
冬休み、1人で家にいるとおかしくなりそうなので
こうして近所を散歩して決まった自販機でココアを買って公園のベンチでゆっくりとココアを飲む。
いつものように自販機に向かうと珍しく先客がいた
横顔でも分かる綺麗な整った顔を歪めて買うものに悩んでいるみたいで
その人の後ろに並ぶと優しい柔軟剤の香りがした
『あっ!間違えた!』
ガコンッ
押すボタンを間違えたらしく違うものが出てきたみたいだった
「(早くして〜寒いってば〜)」
そう思っていると急に振り向いたその人は
『君、ココア買いに来たでしょ?間違えたからあげる』
そう言っていつも私の買っているココアを差し出した
「え....いや...自分で買うので大丈夫です」
『なんで?ココアでしょ?買いに来たの』
「本当に大丈夫です」
この人不審者だ直感的にそう思い今日はココアを諦めようとしたとき
『あっ!不審者だと思ってる?違う違う!キム・テヒョン!』
私の心を読んだように自己紹介をしたその人は口を四角くして笑った
名前を言われても不審者に変わりはないのでその場を去ろうとすると
『まって!まって!お願い20円貸して!ココア買ったら足りなくなっちゃった』
「....ココア飲んだらいいじゃないですか」
『だからこれは君の!ね?お願い俺今日誕生日なの』
『ほんとありがとうね〜今度20円返すから!』
ひひっと笑うキム・テヒョンさん
「返さなくて大丈夫なんで付いてこないでください」
誕生日その単語を聞いて思わずお財布から20円を取り出してしまい
その後もずっと付いてくる
『俺もこっちに用事あるんだもん』
「...なんで私がココアを買うってわかったんですか」
『ん〜.....そういう顔してたから』
多分こういう人は私と違って上手に生きているんだろうなと思った
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おさる - 一回だけじゃなくて何度も見たくなるようなお話でした。次回の小説も楽しみにしています! (2018年9月27日 10時) (レス) id: 61e830c75b (このIDを非表示/違反報告)
白(プロフ) - らむさん» そう言っていただけて嬉しいです(;;)ありがとうございました! (2018年7月19日 11時) (レス) id: 6fe35b1797 (このIDを非表示/違反報告)
らむ - 感動……すごく面白くて楽しかったです!!映画で見たいくらいです(*^◯^*)大好きなテテでこんな素敵なお話書いてくださったことに感謝です!! (2018年7月19日 1時) (レス) id: a7a9735bca (このIDを非表示/違反報告)
白(プロフ) - ゆんさん» お付き合いありがとうございました(>_<) (2018年7月17日 18時) (レス) id: 67f3dc7c68 (このIDを非表示/違反報告)
ゆん(プロフ) - とても素敵なお話をありがとうございました^_^ (2018年7月17日 17時) (レス) id: 8e5cc19314 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:白 | 作成日時:2018年6月23日 18時