はーち。【トイレの花子さん】 ページ10
「じゃあ人魚の相手は花子くんに任せて、ちょっとお仕事手伝ってね、寧々ちゃん」
『な、何するの?』
「先ずは眷属の呪いを移すための術の準備だよ
その後は結界の札を創るの
呪いを移すのは呪われた本人の了承と人間姿になってるっていう条件が必要なんだけど、いい?」
すごい勢いで寧々ちゃんが頭を縦に振って了承する。それを見てから、私は腰のポーチから1枚の札と苦無を取りだし、苦無で自身の指を切って札に血液を垂らす。すると札はみるみる血を吸い込んでいき、何も書かれていないように見えた真っ白だった札は薄紅色に変わり、黒い文字のようなものが中心に浮び上がる。
その札を大事にしまい、今度は別の白い札を取りだし先程取りだした苦無の刃の部分に五芒星を自らの血で描く。途中、花子くんが人魚相手にはね飛ばされていたが、まぁ大丈夫だろう。
準備が全て終わり、花子くんのほうに向き直れば丁度人魚を追い払えたようで、寧々ちゃんの方は花子くんに任し教室の中央に白い札を五芒星の描かれた苦無で刺しつけた。
「よし、コレでひとまずは安心かなぁ
でもしつこそーだったね?結界貼ったけど簡易だし、あんま時間稼げそうにないよ花子くん」
「んー、ちょっとでも時間が稼げればそれでいーよ」
そんなのほほんとした様子に寧々ちゃんは大いに焦る。そりゃ、まぁ怪異なんていう異形のものに自分の命を狙われているのだ、焦らない方がおかしいのだけど……花子くんに今更後悔したってもう遅い。くふり、と可愛らしい笑顔で笑う花子くんは脅しかけるように寧々ちゃんを上から覗き込んだ。
「泣いても無駄、これが怪異にかかわるってコトだ
言ったよね?使うなって。せっかく忠告したのに
お、ばーか、さん─」
でも、私は知っている。花子くんが本当にこんなに酷くないことを。本当は、少し意地悪だけど優しくて暖かい存在だってことを。
「人間に戻りたい?
願うなら叶えよう。もちろん代償はもらうけど」
必死にうなずく寧々ちゃんを見て、にやりとやらしげな笑を見せて鱗を舌にあてがう。
「言ったね?
じゃあお代はカラダで払ってもらうよ」
ゴクリ、と飲み込めば寧々ちゃんは人間に戻る。花子くんが呪いを最低限に抑えてくれたから、そのカラダに着いた鱗も乾けば治るようになっている。
「じゃあ寧々ちゃん、もう少しだけ付き合ってね?」
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作者名:沙之揺來 | 作成日時:2020年2月21日 3時