さーん。【トイレの花子さん】 ページ5
「ミツリ、おわったー?」
「おわったよ花子くん!それよりも、髪の毛何かしてたの?」
「うん、見て見て猫さんー。にゃーって鳴いてみせてヨ」
そう言って、学ランの内から割れた手鏡を出して見えるようにと私を映してくれる。
割れていて少し見にくいものの、鏡に映った私の髪の毛は器用にも猫の耳のような結び方になっており、とても可愛らしい。一体どうやって結べばこの髪型になるのか。というか花子くんは一体どこでこんな情報仕入れてくるのだろう……
「凄いね花子くん!猫さんみたいでカワイイにゃー
って、そうじゃないよ!寧々ちゃんのお願いごと聞かなきゃでしょ?」
「あ、そうだった
それじゃーお名前と願いをドーゾ!」
「はいっ
高等部1年A組八尋寧々です!好きな人と今すぐ両思いになりたいです!」
お相手は誰にでも優しく、笑顔が爽やかで文武両道な生徒会長、源輝……先輩。彼は私と同じくは代々続く祓い屋の家系であり、彼自身も祓い屋だ。人間に対してだけは菩薩のように優しいが、本来の腹の中ではどう思っているのか分からないような男だ。少なくとも、妖混じりである、怪異と人間が正しい関係で居られるよう護る安倍家を、否、私を憎んでいるのだから。
「わかった
君の願いを叶えよう」
そう言って取り出したのは『ラブめぞっと百式』いわゆるハウツー本だ。
「わかってると思うけど……怪異の力を借りるからには相応の代償を支払ってもらう。
人智を超える力を欲すれば、それだけ代償も重くなるんだ。
だからこれくらいが安全なのさ」
「でも……
それでもって言ったら……?」
「それは……
俺、道具持ってないから無理☆」
そう言って本を読み込む花子くん。まぁ、確かに人智を超える力を使えば腕の1本や2本、命の1つくらい奪われてしまう、というのはよくある事だ。寧々ちゃんの為も思えばこの位の、特別な道具を使わない解決策のがいいのだ。
まぁ、まさかハウツー本を使うだなんて思わなかったけども。花子くん永く存在してはいるけど純愛はしたことなさそうだもんね。うん……
「でも、さすがにその本は古いと思うよ?」
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作者名:沙之揺來 | 作成日時:2020年2月21日 3時