34話 ページ37
夜も静まる丑三つ時。
誰もが、幽霊たちでさえも寝静まった夜であった。そんな訪問にそぐわない時間に規律に厳しい、母のようなミネルバがやってくる。
「起きていますか、Ms.パーキンソン」
「ふふ、起きてるわ
入ってどうぞ、ミネルバ」
「あなた………私やセブルス、それにアルバスの前では繕わなくなったのですね」
そんな事いうミネルバの顔はほんの少しだけだが緩んでいる。私が思った以上に元気だったからか、外面の傷が少ないからか。
「まぁ、“いい子ちゃん”じゃない私は嫌いかしら？」
「いいえ全然。
寧ろ私からしたらそっちの方が貴方らしくて好きですよ。最初こそ騙されましたがね」
皮肉めいた言葉にクスリと笑ってしまう。
しょうがない事なのだ、仮面を被るのも、素を出してしまうのでさえ無意識でやっているのだから。正直なところ、いい子ちゃんでいるのは思った以上に面倒な気がして仕方が無いのだが。
「名女優なものでしょう？
それで、レギュからなにか預かってるのではなくて？」
「あぁ、そうでしたコレを」
渡されたのはシルバー台座にエメラルドが嵌められた質素な指輪。
「ふふ、レギュの初めてくれた指輪なのよ
とても大切なものなの。よかったぁ…」
「それは……
いえ、なんでもありませんよ」
ミネルバが100まで言わずともその指輪は私の魔力を制御するもので、其れがアルバスの持ち物でレギュに渡すように頼んだのも知っている。
でも、それでもレギュが渡してくれたことに変わりは無いのだ。そんな小さな事で喜ぶのだから実に馬鹿馬鹿しいと自分でも思う。
思うけども──
それでも嬉しいものは嬉しいのだ。
「さぁ、指輪も戻ってきたのだしこんな傷治してしまおうか
明日包帯巻いて大広間なんて言ったらみんな驚いてしまうものね？」
そう言うと左の人差し指にリングを填め、懐から杖を取り出すと英語とも他国の言葉とも取れないような呪文を発す。
「それ、は………
古代語？何故…」
「ふふ、ミネルバ。
ここで見聞きした事は絶対に秘密よ？
最初は──
そうね、アルバスの部屋の本だったかしら。なんとも言えない文字…古代文字の本があった
私は、そんな罪深いものが読めて、理解出来てしまった。古代魔法が使えたのよ
今使ったのは古代魔法の回復魔法。本来ならば寿命と、生命力を奪われる呪文ね
寿命を削らず使える私は─きっとこの忌々しい血のせい…」
そう、顔を伏せるとミネルバは背中を優しく撫ぜた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 190人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ハリーポッター」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ルナ(プロフ) - うーんちょっと気になったのですが夢主の精神年齢16歳っておかしくないですか？死んだのが16なら、転生して11まで夢主としての意識があったことを考えると27歳が適当であると思います！ (2019年1月6日 19時) (
レス) id: 41ff75f65c (このIDを非表示/違反報告)
さゆら(プロフ) - レモンさん» 初めましてレモンさん。コメントありがとうございます！ その言葉がとても励みになります、これからもご期待に添えるよう緩ーく頑張りますね！ (2018年12月22日 18時) (レス) id: 7dbd51c71f (このIDを非表示/違反報告)
レモン(プロフ) - はじめまして、最初から読みました。とても面白かったです！今後も楽しみにしてます！ (2018年12月21日 15時) (レス) id: e66d7d83c8 (このIDを非表示/違反報告)
さゆら(プロフ) - 悠寿さん» 初めまして悠寿さん、コメントありがとうございます。さゆらです。 そうですね、正しくは『11歳』ですね、こちらの落ち度です、訂正しておきました。わざわざ教えて下さり、ありがとうございます！ これからもぜひ、作者共々よろしくお願いします！ (2018年12月21日 2時) (レス) id: 7dbd51c71f (このIDを非表示/違反報告)
悠寿(プロフ) - 楽しく読ませてもらってます！43話の13歳なんだから…ってところなのですが入学が11のはずなので11なのでわ？間違ってたらすみません！ (2018年12月20日 16時) (レス) id: ef560d4eb9 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：さゆら | 作成日時：2018年2月28日 2時
