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いつも私を明るい笑顔で迎えてくれた人が。いつも私の話を優しく聞いてくれた人が。
まだお店はやっているし、きっと彼はお客さんに着いているだろうから迷惑でしかないのは分かっていた。…でも。それでも、彼の声が聞きたかった。彼に会ってしまいたかった。
プルルルルルル、と相変わらず無機質な呼出音が耳に響く。ワンコール、ツーコール、やっぱりダメかと思ったその時、｢はい｣と聞きたかった声が聞こえた。
｢Aじゃないか。突然どうしたんだ？｣
彼の、嬉しそうな声。
『あ、えっと、..っごめん』
私は一度、ゴクリと唾を飲み込む。
『ガクくん、今から、お店行ってもいい？』
世界一緊張する時間だった。そして、私は聞こえてきた返事に世界一喜んだ。
店に着くとにこにこしたガクくんが私を出迎えてくれて。
よく来たな、と頭を撫でてくれる彼の袖を掴む。とにかく、誰かが居ないと怖かった。
ガクくんは良いと言ったけど、お店で一番高いお酒を頼み、それを無理やり喉に流し込んでガクくんに話を聞いてもらう。ガクくんの相槌は優しくて、途中で涙がポロポロと零れだした。
｢オレはAの事嫌いにならないからな？｣
ガクくんはそう何度も言って優しく私の背中を撫でてくれて、私は段々彼から離れるのが怖くなった。私を肯定してくれる人は彼以外に居ない、と不思議なほどすんなりと思い込んだ私は、彼が離れないようにずっと彼の服を握っていた。ガクくんはそれを怒りも拒絶もしなかった。
『..はなれ、ないで』
普段の私に合わない度数の高いお酒と、過度なストレスと泣き疲れ。
その三つとガクくんの優しさがグルグルとミキサーでかき混ぜられたように私を襲い、私は自分の瞼が降りていくのを感じる。仮に寝たとしても彼を離したくなくて、最後の抵抗に私はガクくんに抱き着いた。
ガクくんはたじろぐ事なく抱き締め返してくれる。だが今は、その喜びさえも眠気に還元されていく。
｢......ありがとうな、A｣
意識の遠く向こうで、嬉しさを一生懸命抑えたようなガクくんの声が聞こえた。
健康的な、食べ物のいい匂いで目が覚めた。
..何だか肌を包む布団やシーツの感触が違う気がする。でも気のせいだろうかと布団を被り直すと、そこからは大好きな匂いがふわりと香る。
『..え？！』
私が間違えるはずがない、ガクくんの匂いだ。
がばりと起き上がって辺りを見渡す。もうすっかり眠気も無くなってしまった。
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みそ漬けキュウリで殴る(プロフ) - 蒼空麗さん» お褒めの言葉ありがとうございます…！！こちらこそ読んでいただきありがとうございます！！そう思ってくださったのなら幸いです…泣 (2021年10月11日 15時) (
レス) id: ed00509d09 (このIDを非表示/違反報告)
蒼空麗(プロフ) - 愛おしさしかないですありがとうございます (2021年10月6日 16時) (レス) @page26 id: ee676be244 (このIDを非表示/違反報告)
みそ漬けキュウリで殴る(プロフ) - 狛々さん» 読んでいただきありがとうございます！！本当ですか！？めっちゃ嬉しいです…泣考察要素もありますのでぜひぜひ考察していって頂ければと思います！ (2021年10月6日 7時) (レス) id: ed00509d09 (このIDを非表示/違反報告)
狛々(プロフ) - １話読み進めるごとに一番右の星押してました。この作品を読むだけで頭がよくなった気がします!!!! (2021年10月5日 22時) (レス) id: 0c572bf162 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：みそ漬けキュウリで殴る | 作成日時：2021年10月5日 19時
