・ ページ13
うん、終わったよ、そう打ち込んで送信した丁度その時、上から憎しみの籠った声が降ってきた。
｢..あんたさ、いい加減にしなさいよ｣
『..あ、遅かったね、って、え？なに急にどういう事、』
｢..もううんざりなんだよ！散々下らない愚痴とか相談とかに付き合わされて！なのに私の悪口言ってたんでしょ？！..こっちはずっとあんたの自分勝手な行動に付き合ってあげてたのに。あんたほんと最低な女だね。どうせ男さえいればいいんでしょ？｣
いきなりどうしたんだろう、なんて彼女の憎悪の籠った声が思わせてくれなかった。
何が起こっているのか一つも脳が受け付けようとしない。寒いとか、冷たいとかさえ感じられない。なんで？昨日までは普通だったはず、昨日まではこんな事言ってなかったはず、なんで、なんで、なんで？
｢…言い訳もしないんだ。あぁそっか、そもそも出来ないもんね？だって全部事実だもんね？｣
そう言って彼女が見せてきたのはLIMEのスクショと思われし物だった。その内容に、私は唖然とする。
[え、いつも飲んでる子？いやいや笑全然友達なんかじゃないよ]
[都合の良い人？って言うのかな。あんなブス友達にしたいやつ居ないだろうから、仕方なく私が一緒に居てあげてるの笑]
『..は？』
なに、これ。紛れもなく私の口調で、紛れもなく私のアイコンの人物が、全く私の身に覚えにない事を言っている。
『しらない、わたし、こんなこといった覚えは』
｢馬鹿なこと言うんじゃねえよ！..はぁ。もう顔も見たくない。今後一切、私に関わらないで｣
怒気を含んだ足音が、居酒屋の喧騒に消えてく。
私は何も考えられない頭で他の友達に片っ端から電話を掛け始めた。…きっと誰か一人は味方でいてくれると思ったのだろう。非常に私らしい、馬鹿な考えだ。
プルルルルルル、プルルルルルル、と空虚な呼出音が数回響き、そして「この電話番号は―」と流れ出す。..駄目だ。
..この人も、この人も、この人だって！
手当り次第全員に掛けたが全員繋がらない。なんで、なんでこんな急に、こんな酷い目に。自分でやってしまったというならまだ状況を理解できるが、私にその記憶は一切無い。どうしてだろう、と氷で冷やされた様に冷たい頭でスマホをスクロールする。もう無意味なのは分かっているけれど、私の手はLIMEのアプリアイコンに伸びていた。
『..あ』
トップページに表示されたその人の名前に、私は思わず声を漏らす。
まだ、一人だけいた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 80人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
みそ漬けキュウリで殴る(プロフ) - 蒼空麗さん» お褒めの言葉ありがとうございます…！！こちらこそ読んでいただきありがとうございます！！そう思ってくださったのなら幸いです…泣 (2021年10月11日 15時) (
レス) id: ed00509d09 (このIDを非表示/違反報告)
蒼空麗(プロフ) - 愛おしさしかないですありがとうございます (2021年10月6日 16時) (レス) @page26 id: ee676be244 (このIDを非表示/違反報告)
みそ漬けキュウリで殴る(プロフ) - 狛々さん» 読んでいただきありがとうございます！！本当ですか！？めっちゃ嬉しいです…泣考察要素もありますのでぜひぜひ考察していって頂ければと思います！ (2021年10月6日 7時) (レス) id: ed00509d09 (このIDを非表示/違反報告)
狛々(プロフ) - １話読み進めるごとに一番右の星押してました。この作品を読むだけで頭がよくなった気がします!!!! (2021年10月5日 22時) (レス) id: 0c572bf162 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：みそ漬けキュウリで殴る | 作成日時：2021年10月5日 19時
