知ってはならない。

第42話 ページ43

私はすぐに返信した。

相変わらず拓磨の既読が切れることは無く、私も続けて返信を待つ。

『僕も高校は違うから、久々に見たよ。住んでる街が一緒でもなかなか会わないものだね。』

そうなんだ、とは思いつつ、そうなんだ、とだけ返すのはどうかと思うが、他に返信も思い浮かばず、何も返さないまま間を開けてしまった。

少し間が空くと、この私の状況を見かねたのか、拓磨が続けてメッセージを送ってきた。

『そういえば、例の彼女の謎解き、どんな感じなの?』

メッセージを読んで、私はハッとした。

定期的に報告すると言っておきながら、今まで何も報告をしていなかった。

危険だと心配する拓磨にとって、気になる話題ではあったのだろう。

何日も聞かないでいてくれたことに感謝しつつ、完全に忘れていたことに申し訳なく思う。

私は慌ててメッセージを打った。

『ごめん、報告するって言って何もしてなかったね。今から打つから、ちょっとまってて。』

送信すると、既読は瞬間的に付き、うん、とだけ返信されてきた。

私は急ぎながら、かつ頭の中でまとめながら今までわかったことをメッセージに打っていった。

凜が精神安定剤を服用していたこと。
凜が山田家の生まれではなく、養子として暮らしていたこと。
また、凜が養子になる前に何があったのかはわからないこと。
これらが判明した経緯、私が調べた行為、推理

今までしたこと、あったことをできるだけ事細かに報告した。

そうすることが、きっと拓磨の不安を取り除くことになる...。



だいたい全ての報告が終わったところで、拓磨はそっか...という言葉に続けてメッセージを送った。

『何かの事情があって、養子になった、か...。安全とは言えないね...。』

私は、拓磨の言いたいことがある程度わかった。
はっきりとは書いていないが、それとなく伝えようとしたのだろうか...。

拓磨は、あくまでも危険だと言う意見は変えていない。
容認はしているものの、賛成はしていないのだ。

私はあえて何も返事しなかった。
案の定、直ぐに拓磨からのメッセージが連送された。

『春美。君が聞かないことを前提でもう一度言うよ。僕はやっぱり君の謎解きに反対だ。危険だよ。春美がやめてくれることを心から願ってる。もう、これ以上犠牲者は出したくないんだ。春美が危険に身を投げる必要は無い。それでも君はやるんだろうけど、僕はあくまでも賛成しないよ。』

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