第41話 ページ42
初めて凜と話した時の言葉だ。
私の地元と凜の親戚とがとても近く、話が盛り上がったことは今でもはっきりと覚えている。
その時、凜は、初対面の私には眩しすぎる笑顔で言ったのだ。
「親戚の家がね、春美ちゃんの中学校の近くのマンションなの。10階に住んでたから、よく街を眺めてたんだけど...私、何回かその中学校の制服を着た人眺めてたんだよ。もしかしたら、もう既に春美ちゃんのことは見たことがあったかもしれないね!」
その明るさは、私を救った。
今のところへ引っ越してきた私は友達を1人も持たなかったため、不安がとても大きかった。
でも、凜の、凜のああいう明るさと優しさが、その不安を拭ってくれた。
私を、救ってくれた...。
拓磨の住むマンションが画角から切れると、私は乗り出していた身を再びソファに預けて脱力した。
アナウンサーは、女子高校生に案内された雑貨店であれこれ探しながら楽しそうに笑っている。
凜は、本当に拓磨に似ている。
優しい笑顔も、私への接し方も、雰囲気も、どこか似ている。
それに偶然だが、拓磨もマンションの10階に住んでいる。
拓磨のマンションも中学校に近い。
もしかしたら、拓磨と凜は1度出会ったことがあったかもしれない...
現実的にありえない妄想を繰り広げながら、拓磨と凜が話したらどんな感じになるんだろうとか、くだらないことばかりを考えた。
気づくと、アナウンサーは女子高校生と別れを告げ、私の地元の特集は終わっていた。
番組が次のコーナーへ移行したと同時に、私の携帯が通知音を鳴らした。
私は手を伸ばして携帯を手に取り、画面を見た。
来ていた通知は、拓磨からの返信。
『あー、学校でちょっと話題になってたかな。こっちでもやってるよ。今終わったところだ。僕のマンション、映ってた。』
私はロックを解除し、拓磨とのトーク画面に切り替えた。
『映ってたね。ちゃんと見つけたよ。懐かしい景色ばっかで面白かった。』
メッセージを送信すると、直ぐに既読がついた。
私は画面を表示したまま、返信を待つ。
『中学校の周りって本当に何も無いから、直ぐに通り過ぎちゃったね。そういえばあのインタビューされてた女子高校生も、同じ中学校だったよね。』
『うん。仲良くしてた子だった。連絡先持ってなかったから、元気にしてるの見て安心したよ。』
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fruit(プロフ) - 鳥の子さん» うわぁぁぁぁ嬉しいお言葉ありがとうございます!!そして読みに来てくださってありがとうございました!!自分の作品をこんなに好きって言って貰えるとすごい嬉しいのですね...いますごくテンション上がってます笑コメントもしてくださってありがとうございました!! (2020年1月26日 0時) (レス) id: dc8b637267 (このIDを非表示/違反報告)
鳥の子(プロフ) - 一通り読んで参りました……!好き……。余りにもLOVE過ぎて……。もう説明文の所から夢主ちゃんの覚悟が伝わってきて、けれど最終的には後悔してしまうのだろうな(覚悟ほしていたけれど)とか思っちゃうとLOVE……。更新頑張られてください!! (2020年1月18日 17時) (レス) id: fababa1230 (このIDを非表示/違反報告)
fruit(プロフ) - 凛奈さん» 嬉しいお言葉ありがとうございます!!!凛奈様のような読者様がいらっしゃるので頑張れるわたくしです。これからもどうぞよろしくお願い致します!! (2019年5月28日 17時) (レス) id: 479b2f8b1f (このIDを非表示/違反報告)
凛奈(プロフ) - 更新楽しみにしてます!すんごい面白いし、好きです!! (2019年5月28日 6時) (レス) id: 225bb681ca (このIDを非表示/違反報告)
fruit(プロフ) - 花風雪 サブありさん» うわぁぁ嬉しいコメント!!!読んでくださって本当にありがとうございます!!!今はテスト前で少し更新をお休みしていますが、来週からまた再開します!まだまだ続きますよ〜!?これからもよろしくお願いいたします!!! (2019年5月26日 7時) (レス) id: 479b2f8b1f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:fruit | 作成日時:2019年3月4日 22時