第34話 ページ35
「そうですか...。そんなことが...。」
凜のお父さんがゆっくりと一つ一つ、話してくれた。
山田家に突如現れた凜。
事情は全く知らせずに養女となった凜。
過去を一掃するために山田家に訪れ、見事に新たな人生を作り上げようとしていた彼女に
一体、何があって、命を捨てなければいけなかったのだ...
「幼くして亡くした私たちの子供に、凜が少し似ているところがあったのよ。だから、まるで本当の親子のように、大切にした。凜の過去なんかどうでもいいって。今、幸せな時間を与えてくれる凜を大事にしようって...。」
凜のお母さんは哀しげな顔でそう言った。
今私の目の前にいるふたりは、やりきれない気持ちでいっぱいだろう。
凜の過去を探らなかった後悔。
みすみす失ってしまった後悔。
もし凜の過去を調べて、協力していれば...
そんなことを思うに違いない。
大事な子供を、2回も失うなどどれほどの深い悲しみか...
あまりにも衝撃的な事実に、私は言葉を失っていた。
黙って俯いていると、突然凜のお父さんが言った。
「春美ちゃん。」
名前を呼ばれ、咄嗟に顔をあげる。
すると、凜のお父さんは私の顔を真っ直ぐに見て言った。
「僕達は今まで凜との約束を守って、凜の過去には触れないでいた。彼女が僕達を信じてくれるのだから、その期待に応えようとした。でも、今は凜のことを知るべき時だと思う。戸籍を取り寄せれば、従前戸籍、つまり前の家がわかるはずだ。もしかしたらこの縁組を保証した代諾者も載っているかもしれない。その人に話を聞けば、事はだいぶ解決に近づくんじゃないかな。」
優しい笑顔で、彼はそう言う。
あまりにも流暢に喋るから思わず忘れそうになりそうになるが
...凜の過去を調べるというのは、2人にとって相当な覚悟のはずだ。
凜との幸せな生活は、その過去を調べることによっていつでも容易に壊すことができた。
凜のお母さんとお父さんは凜の過去を調べない。
その約束に関して、凜は2人を信じることしかできなかっただろう。
もろく、いつでも切ることのできる、でも確かに両者を繋いでいた糸は、山田家にとってとてつもなく重要な意味を成していた。
だから、だからこそ2人は約束を守り続けた。
...しかし言い方を変えれば、凜の過去を調べるということは、その凜の信用を破壊させることと同等だということになる。
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fruit(プロフ) - 鳥の子さん» うわぁぁぁぁ嬉しいお言葉ありがとうございます!!そして読みに来てくださってありがとうございました!!自分の作品をこんなに好きって言って貰えるとすごい嬉しいのですね...いますごくテンション上がってます笑コメントもしてくださってありがとうございました!! (2020年1月26日 0時) (
レス) id: dc8b637267 (このIDを非表示/違反報告)
鳥の子(プロフ) - 一通り読んで参りました……!好き……。余りにもLOVE過ぎて……。もう説明文の所から夢主ちゃんの覚悟が伝わってきて、けれど最終的には後悔してしまうのだろうな(覚悟ほしていたけれど)とか思っちゃうとLOVE……。更新頑張られてください!! (2020年1月18日 17時) (レス) id: fababa1230 (このIDを非表示/違反報告)
fruit(プロフ) - 凛奈さん» 嬉しいお言葉ありがとうございます!!!凛奈様のような読者様がいらっしゃるので頑張れるわたくしです。これからもどうぞよろしくお願い致します!! (2019年5月28日 17時) (レス) id: 479b2f8b1f (このIDを非表示/違反報告)
凛奈(プロフ) - 更新楽しみにしてます！すんごい面白いし、好きです！！ (2019年5月28日 6時) (レス) id: 225bb681ca (このIDを非表示/違反報告)
fruit(プロフ) - 花風雪 サブありさん» うわぁぁ嬉しいコメント!!!読んでくださって本当にありがとうございます!!!今はテスト前で少し更新をお休みしていますが、来週からまた再開します!まだまだ続きますよ〜!?これからもよろしくお願いいたします!!! (2019年5月26日 7時) (レス) id: 479b2f8b1f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：fruit | 作成日時：2019年3月4日 22時
