第22話 ページ23
学校を物色してから2日が経った。
図書室を出たあと、現場となった屋上に行ったが、警察が調べたあとだ。当然何も出てこなかった。
あれから図書室で借りた本を読んだが、どうも凜に繋がるようなことは見つからない。
私ははぁ...とため息をつきながら机に突っ伏した。
「随分とお疲れのようね。勉強もしていなければ夏休みなのに。」
呆れ顔で皮肉たっぷりにお母さんがそう言いながら、私の目の前に冷たい飲み物を置いた。
私は重たい体を起こし、コップを手に取って少し口に含む。
先程から換気だと言ってクーラーを止めて窓を開けている室内。
机に体を放り投げているだけで、汗が滲んでくる。
私は力ない言葉でお母さんに言った。
「なにもしてないわけじゃないよ。凜の消えた理由を探してるって、この間言ったでしょ。」
私の声を聞くと、お母さんは家事をしながらこちらを向いた。
「まだやってたのそれ。警察にわからないことがあなたにわかるもんですかね...。まあ心意気は評価するわ。なにか進展でもあったの?」
私は進展あったらこんなに悩んでないよ、と一言言って、目を閉じた。
軽い夏バテだろうか。疲労感がすごい。
このまま寝てしまおう...と力を抜いた。
「凜ちゃん...いい子だったのにねぇ。親思いで優しくて。家族のことも愛していたのに。」
眠りに引き込まれそうになった瞬間、私はぱっと目を覚ました。
「...なんでお母さんがそう断言できるの。」
私がそう言うと、お母さんはなんでって...と軽く笑いながら話を続けた。
「いつか凜ちゃんがうちに来た時ね、春美がなんか用事出来たって言って家空けたでしょ。その時に部屋に飲み物持っていったら、凜ちゃん寝てたのよ。そしたら、『ママ...』って寝言言ってて。しっかり者の凜ちゃんもお母さんのこと好きなんだなって思って可愛くなっちゃって。よく覚えてるのよ。」
え?
凜が
どうして
私は咄嗟に立ち上がって家事をしているお母さんの元へ行った。
そして確実に聞き逃さないように、顔を近づけた。
「ちょっ...春美。突然なによ。」
私はお母さんの腕を掴みながら言った。
「お母さん。凜は、寝言でなんて言ったって?」
余程私の質問が意外だったのか、お母さんは少し驚いた顔をしながら答える。
「だから、ママって」
「絶対?確実にそう言ったの?」
私の勢いに押されながら、お母さんは少し戸惑って答えた。
「よく覚えてるってば。ママって言ったのよ。」
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fruit(プロフ) - 鳥の子さん» うわぁぁぁぁ嬉しいお言葉ありがとうございます!!そして読みに来てくださってありがとうございました!!自分の作品をこんなに好きって言って貰えるとすごい嬉しいのですね...いますごくテンション上がってます笑コメントもしてくださってありがとうございました!! (2020年1月26日 0時) (レス) id: dc8b637267 (このIDを非表示/違反報告)
鳥の子(プロフ) - 一通り読んで参りました……!好き……。余りにもLOVE過ぎて……。もう説明文の所から夢主ちゃんの覚悟が伝わってきて、けれど最終的には後悔してしまうのだろうな(覚悟ほしていたけれど)とか思っちゃうとLOVE……。更新頑張られてください!! (2020年1月18日 17時) (レス) id: fababa1230 (このIDを非表示/違反報告)
fruit(プロフ) - 凛奈さん» 嬉しいお言葉ありがとうございます!!!凛奈様のような読者様がいらっしゃるので頑張れるわたくしです。これからもどうぞよろしくお願い致します!! (2019年5月28日 17時) (レス) id: 479b2f8b1f (このIDを非表示/違反報告)
凛奈(プロフ) - 更新楽しみにしてます!すんごい面白いし、好きです!! (2019年5月28日 6時) (レス) id: 225bb681ca (このIDを非表示/違反報告)
fruit(プロフ) - 花風雪 サブありさん» うわぁぁ嬉しいコメント!!!読んでくださって本当にありがとうございます!!!今はテスト前で少し更新をお休みしていますが、来週からまた再開します!まだまだ続きますよ〜!?これからもよろしくお願いいたします!!! (2019年5月26日 7時) (レス) id: 479b2f8b1f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:fruit | 作成日時:2019年3月4日 22時