知ってはならない。

第17話 ページ18

1週間が経ち、7月の終わりとなった。

夏休みとなって学校の誰とも話さなくなり、謎解きはさらに難航していた。

部活には入っていないため、ここ一週間学校にも行っていない。

自分でじっくり考えてみたとはいえ、やはり限界があり、特に何も思いつくことはなかった。



今日は学校に行ってみようと思う。
表面上では自習目的。
本当の目的は情報探りだ。

凜が関わったところをくまなく探してみよう。

今まではクラスの友達の目があり、思うようにはいかなかった。
しかし、今は夏休みのため、思うままに教室を徘徊できる。

奇異な目で見られることもないだろう。



どうせ自習なんかしないため、最低限の勉強道具だけをトートバッグに詰め込んだ。

「行ってきまーす」

母に一言そう告げて、家を出る。
久々に着た制服が風になびくのを手で押さえつけて、ゆっくりと歩き出した。




ーー学校への通学路。

ここを凜と一緒に歩くことはほとんどなかった。

たまに学校帰りで私の家に来る時ぐらいは一緒だったが、頻繁なものではなかった。

放課後に集まるとしたら、凜の家だった。
凜の家が学校に程近かったのもあり、よく招いた
てくれたのだ。

凜の家でなければ、電車に乗って何処か別の場所に遊びに行っていた。


だから、私の家から学校までの道には、特に新しく得られるものもない。

いつもと全く変わらない景色に飽き飽きしながら15分ほど歩くと、学校に到着した。

別段誰に会うわけでもなく、誰もいない教室に入る。


夏休みとはいえど、まだ7月。
宿題におわれている人も少ないようで、自習しているのは3年生を除いてほとんどいなかった。

「...ラッキー。」

しんと静まり返る教室にそうつぶやくと、自分の声がこだました。

持っていたバッグを机の上に起き、とりあえず椅子に座った。


...ここは自分の教室。

凜とはクラスが離れていたため、凜のことを探るならこの教室とは別の教室に入ることになる。

はぁ...とため息をつき、机に突っ伏す。

探ると言っても、どこから探ろうか。
教室、屋上、凜が好きだった図書室、靴箱...

彼女もまた部活をしていなかったため、痕跡は少ないが、探せるところは探そう。

とりあえず動かなきゃ、と思い、上体を起こしてゆっくり立った。

「...教室、行ってみるか。」

一応廊下を見渡し、誰もいないことを確認すると、自分の教室を出て凜の教室へと向かった。

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