愛を知らない王女が、愛を学ぶ物語【7】

第296話 ページ12

リベラside

リニャーノの言葉には何一つ間違いはないのに、怪訝に思ってしまう。

今まで甘く見ていた私が悪いのに。

私に時間なんて、残されてないのに...。

ユラス「リベラ。どうする。」



リニャーノの重々しい言葉に、私は一言答えた。

リベラ「1分ちょうだい。」

私のその言葉に、リニャーノは少し驚いた。

しかし、すぐにわかった、と言って、彼女の腕時計を見た。

ユラス「1分後、答えを聞く。」

そして彼女はゆっくりと私から少し距離を置いた。






仮に他の方法を探すとする。

だとしても、あと2日でいい答えなんて見つかるの?

今まで決して、他の方法を考えて来なかった訳では無い。

何度も考えた。考えたけど、やっぱり完全復活する必要があるって結論に至る。

今まで見つからなかったものが、2日で簡単に見つかる?



...それこそ考えが甘い。

裏clockを完全に消滅させるには

アリオンを守るためには

この星を守るためには




私が生きたいように生きるためには









ユラス「リベラ。」

1分が経ったのか、リニャーノが私に近づいてきた。

私はすっと立ち上がり、リニャーノの方を向いた。


ユラス「決まったか?」

その言葉に、私はコクリと頷いた。


ユラス「っ...。」

その返事を受け取ったリニャーノの、目の奥が見開かれた感じがした。

こんな短い間にこんな苦しい決断をさせて申し訳ない、と

とても自らを悔やんでいる。

決してリニャーノのせいではないのに。

私が勝手に、巻き込んだだけなのに...。





リベラ「...ん?」

ユラス「では、その答えを聞こうか。リベラ。お前はどうする。」



一瞬何かに気づいた気がしたが、リニャーノの言葉によってその感情はどこかに行った。




代わりに、恐ろしいほどの緊張感が、私を襲う。


明日になって「やっぱり変える」なんてのは許されない。

今日、今、此処で、決めなければいけない。




私はぐっと拳に力を入れると、リニャーノの目をしっかり捉えて言った。









リベラ「...魔力を、完全復活させる。」



リニャーノは、間髪おかずに聞いた。



ユラス「間に合わなかったら?」





私は、すぐに答えた。






リベラ「すべてを諦めて、地球に幽閉される。」





私の固い決心を受け取ってくれたのだろう。


その言葉を聞くや否や、リニャーノは自身の顔の筋肉を弛緩させて言った。



ユラス「練習を始めようか。」

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