第288話 ページ4
リベラside
サカエ「その炎の魔力持ちは地球人と話し合い、この星をいくつかの国に分けた。そして幽閉された魔力持ちを強い順にその国王とさせ、一般市民には魔力を絶対に広げないことを約束した。この方法で2つの星は平和を取り戻したが、地球人に対する魔力持ちの悪事、魔力持ちに対する地球人の仕打ちが根強く両星の住人に残り、ふたつの星は交わることがなくなった...。」
長々と続いた話が終わった。
部屋に静寂が戻る。
この星は地球人から成り立っていて
対立して関わることがなくなり
魔力が王族のみに与えられることになった...。
重々しい空気を打ち破るように、私は言った。
リベラ「サカエさんは...なぜ、この星に?」
1番気になっていたこと。
魔力を持たない国王が、地球人が、なぜこんなところにいるのか。
彼は私の言葉を聞くと、ふっと笑って呟いた。
サカエ「目的...ね。」
そう言って手を顔の前で組み、その上に顎を載せた。
そして少し考えるような顔をしてから、ゆっくりと口を開いた。
サカエ「私は...日本の国王をやっていましてね。代々国王にだけこの話が伝わるんです。この話を聞いた時、この星に強く興味を持ちましてね...。1番強いと聞いていた炎の力を持つ国に行こうと思ったら、力が途絶えている、なんて言われて。それで今1番強いと言われているファナッカに行き、事情を説明し、ここに置かせてもらっているのです。」
言い終わるとサカエさんは、にこっと怪しげな笑いを浮かべた。
え...
なにこの違和感...
なにかがおかしい...
事情を説明しただけで地球人だと信じてもらえるわけがない。
なにかある。
裏がある。
これも探る必要があるか...。
私は疑いの姿勢を見せないようにニコリと笑い返した。
リベラ「そうだったんですね。納得しました。決して口外しません。誓います。お墓まで持っていくことにしますね。」
演技が上手くいったのだろう。サカエさんはその言葉を聞いて安心したらしく、力が抜けたような声でお願いしますねと言った。
ちら、と時計を見ると、残り10分。
そろそろ仕事に戻る頃だった。
私の視線を追いかけたサカエさんも時間に気づいたようで、椅子からゆっくりと立ち上がった。
リベラ「そろそろですね。」
私もそう言いながら立ち上がり、部屋のドアに手をかけ、部屋を出る瞬間に
サカエさんが耳元で囁いた。
サカエ「なにか情報あったら、教えてくださいね。」
ああ恐ろしい。
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fruit(プロフ) - neruさん» こんな古くて長すぎる作品を読んでくださって、本当にありがとうございます!!番外編の件、リクエストすごくすごく嬉しいです!!もちろんお受け致します!逐一公開しようと思いますのでお気に入り登録等で通知を受け取ってくださると嬉しいです。しばしお待ちください! (2021年6月30日 14時) (レス) id: b2a1d0f311 (このIDを非表示/違反報告)
neru - 凄く面白かったです!もしできたら続編・・・というより番外編を作っていただけないでしょうか?夢主が帰ってきた後と結婚した後で時間が空いているのでその間どんな感じだったのか知りたいです! (2021年6月30日 6時) (レス) id: be91a01192 (このIDを非表示/違反報告)
fruit(プロフ) - 葵 林檎さん» 素敵なコメントありがとうございます!!時間はかかっていますが少しずつ直している最中です。言い回しが変わったりバッサリカットしたりしているのでぜひ何度でも見返してみてください!ありがとうございました! (2021年2月27日 4時) (レス) id: b2a1d0f311 (このIDを非表示/違反報告)
葵 林檎 - このお話、とても好きだなああぁ、と心の底の根っこから思います! 私はファンタジーがめちゃ大好きなので、もう、何度も読み返します!! 素敵なお話を作っていただきありがとうございます…! (2021年2月16日 21時) (レス) id: 2561b1222b (このIDを非表示/違反報告)
fruit(プロフ) - 愛流鈴さん» お返事大変遅くなり申し訳ありません...!このコメントを拝読して、すごくテンションが上がっております!私自身、あまり自信がなくて作品削除も考えていたのですが、コメントを読んで、この作品は残しておこうと思うことができました。本当にありがとうございました!! (2020年9月17日 12時) (レス) id: 332baaf975 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:fruit | 作成日時:2018年7月1日 7時