愛を知らない王女が、愛を学ぶ物語【2】

第77話 ページ37

No side

キリトが部屋に入っていった。

しばらく静寂が続くと、ミオが口を開いた。

ミオ「あの、リニャーノ様。」

そう声をかけられると、リニャーノは顔を背けたまま答えた。

ユラス「どうせ、clockのことだろ？用とは。」

図星を言われ、固まるレナとミオ。

ユラス「心配しなくとも、もう同盟は結んでいない。危害を加えることはないだろう。それに...clockの用だったら、私じゃなくともキーピングでよかろう。」

レナ「！！！！」

ミオ「キー・・・ピング・・・。」

リニャーノ言葉で、2人は目を見開く。

そんな彼らの姿を見て、リニャーノは口角を上げた。

ユラス「ふっ。まだまだ若いのだな。まあ、頑張れ。」

レナ「は...はい...。」

そうレナがか弱く返事をすると、リニャーノは再び2人に背を向け、

ユラス「では、用はここまで。」

と言って、数歩歩いた。



窓の近くまで行くと、すっと腕を伸ばす。

そして、ぐっと力を入れたかと思うと







すぐに勢いよくリニャーノの背中から翼が生えた。


バサっ




その後は一言じゃあな、と言って



リニャーノは窓から飛んで帰ってしまった。





彼女の背中が見えなくなると、レナがポツリと呟いた。


レナ「キーピング...代々女を国王とする異質な国。」

ミオ「そして、clockの」






レナはそっと目をふさいだ。


clockの...。



ミオ「そんな、そんなキーピングをすすめるなんて、リニャーノ様も残酷だな。」

レナ「・・・そうね。」

顔を見合って、2人は軽く微笑む。

ミオ「んじゃ、ここにいる用はなくなったわけだし、帰りますか。」

レナ「そうね。」

そう言って2人が準備をしようとした


瞬間に



「あのっ！！」


ルナナが走って帰ってきた。

レナは、すぐに彼女に気づいて体を向ける。

レナ「あら・・・マナ様のお側にいなくていいの？」

ルナナ「はい...。でも、それでも聞きたいことが。」

彼女はそこで言葉を止め、息を整えて言った。

ルナナ「レナ様とミオ様は、何故ここに...?」



ルナナがそう聞いた瞬間

レナとミオは力を込めた。


すると、突然2人を炎が包んで

水が出て、音が出た。


レナは、姿がはっきりと見えないままルナナに言う。

レナ「王族だから。...魔力持ちだから。」

ルナナ「っ...!!」


信じられないような事実に、ルナナは硬直した。

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