何が悪いの？【あほの坂田。】

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「はぁ、やっと買えたね」

「よし！！彩香！！缶バ開封するよ！！はやく！！」

「はいはい急かさないで」

あの地獄のような時間を耐えきったわたしたちは無事グッズを買い終えた
缶バ代行してもらえばよかったな、なんて思いつつドキドキしながら一つずつ丁寧に開封していく
この時間がなんとも言えないもどかしい気持ちになって何度経験しても苦手だ

「あ、サイン色紙当たった。ついでに坂田さんのサインいりも当たった」

「嘘まじ？まってわたしも当たったわ」

「やっぱ積んだだけあるよね」

「ほんとそれ」

200という普通のリスナーからしたら馬鹿げた数字
だけれどもそこまで積むのには意味があって。
サイン色紙を当てるため、サイン入り缶バッジを当てるためっていうのもある。
でも一番の理由は楽屋招待を当てるため
浦島坂田船を推している人なら誰だって聞いたことはあるだろうこの言葉
わたし達は限られた人しか行けない楽屋に行くために毎回こうも積んでいるのだ
だって近くで話したい、坂田さんに触れたいって欲望が止まらないんだもの

「ねえまって彩香、もうラストだよ」

「嘘ほんとだ、こんなに開けてたんだわたしたち」

「ね、じゃあ最後はいっせーので開けよ」

「うん」

「「いっせーの」」

あ、当たり

「彩香彩香！！どうしよ、当たった楽屋当たった！！」

「奇遇だねわたしも当たった」

「なんでそんな冷静でいられるの！！？わたし興奮抑えられないんだけど！」

「いや心は荒ぶってるから安心して」

これは本当。楽屋招待って文字を見た瞬間心臓のドキドキが止まらなくなった
心臓がはち切れちゃうんじゃないかっていうくらいドキドキしてる
やっとあなたに触れることができるんだね、嬉しくて涙が出そうだよ
でも、いつかの握手会で言われた言葉、
『泣くときは僕の前で泣いてな、僕がいない時に泣いてたら涙ぬぐえないやん』って優しい声色で、優しい笑顔で言ってくれたのを今でも覚えてるの
だから、今は泣かずにあなたのためにとっておくね

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