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坊ちゃんと出会ったのは、1年生の頃。
ハーツラビュル寮に入ってきた坊ちゃんを見つけ、手に取られた時
『(あぁ、このクソガキ。こいつだ、我が主は)』
と思い力を貸すことにした。最初に手を取られた時に手から溢れる魔力に惚れた。
この赤毛のガキやるじゃん。俺の主に相応しい。
「これからよろしく」
と主は笑っていた。強い瞳、意思。こいつはすごい人間に就くことになったと喜んだ。
読み通りに坊ちゃんは1週間にしてハーツラビュル寮の寮長に。
『(さすが、主。やるじゃん)』
と褒めるがその声は聞こえず、参考書の音で消される。
また勉強してんのかと覗いているとわけのわからない用語で頭がいかれそうになった。飽きもせずによくやるなと努力家の主の顔を見ると苦痛に歪んだ顔をしていた。
「大丈夫、僕はやれてる………頑張れる、もっと勉強しなきゃ……!じゃないとお母様に」
荒い呼吸になり大粒の涙がカーペットを汚した。そういえばこの大きな寮長室に慣れていなかったっけ。
座り込んでしまった泣き虫な坊ちゃんに目線を合わせ
『(大丈夫、何があろうと俺は坊ちゃんの味方っすよ)』
追加(俺って言ってるけどどっちにも取れますので、お気になさらず。俺っ子かもしれない)
…
あぁ、腹が煮えくり返りそうだ。どいつもこいつも!
ハートの女王の法律を無視したマナー違反に腹が立ちそうだった。
愚か者は僕の注意も聞かずに反撃しようとしてきたので首をはねた。
ふんっ、当然だ。この僕が負けるわけが無い。
マジカルペンを握れば誰だって僕に適うはずがない!
ペンは主人を選ぶ。僕がこうやって魔法を連続して出せるのもペンのおかげだ。じゃないと、強い魔法を連発なんてできっこない。
「いつもありがとう」
聞こえないし届かないはずの人物に声をかけた。
そうだ、あとで手入れをしておかなければ。汚れているかもしれないし……
「チッ………まじうぜぇ……」
僕の耳が良いせいか先程の生徒の声が通りすがりに聞こえた。僕は木陰にいたから相手は気づくことなくそのまま通りすがっていった。
悪口を言われるのはわかっていた。一度や二度ではない、ルールを守らない者を罰則すると必ず酷い言葉をかけられた。
僕は間違ってなんかない。法律やルールを破る方が悪い。僕は悪くなんかない。
そう分かっているのにポロポロと涙が止まらなかった。
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作者名:彼方 | 作成日時:2021年8月29日 12時