クロロの場合【オチ決めアンケート投票支援用サンプル】 ページ46
【クロロ side】
パラリ、と紙を捲る音だけが静かな部屋に響く。
この部屋には俺以外にソフィアが居るのだが、現在は見事に沈黙していて互いに言葉を交わすことはない。
沈黙が寂しい反面、嬉しくもあった。というのも、普段はよく表情を変える彼女が沈黙している理由は俺が勧めた本を読んでいるからなのだ。
興味と気まぐれで行動するソフィアだから、読書は好まないと予想していたが。集中して目を伏せる彼女を見ればそんな様子は見えず、知的な面もあるのかと意外な一面を知れて嬉しくなる。
何より、こういった彼女の表情を他の団員が知らないということに満足感を抱いていた。
(睫毛長いな……)
俺がじっと見ていることも気付かずに字を追うソフィアは、とても無防備で。
いや、普段から無防備ではあるが、何か別のものに集中してる様というのはより無防備に感じる。
そんな彼女を余すことなく見続けるのは、どんなに綺麗なものを愛でるよりも夢中になれた。
どんな宝石よりも美しく、どんな稀少なものでも敵わず、どんな宝よりも盗むに難く、側においても俺の手を容易くすり抜ける。そのくせ、見せる色も表情も日毎に違うのだからどんな人間より価値がある。
そのせいでお前に対しては一向に飽きが来ない。
(ま、盗むも何も持ち主がいないんだけどな)
強いて言うなら、ソフィアの持ち主はソフィア自身といったところ。だからこそ難しい……何せ、俺が知る手段のどれもが通じないと言っていいのだから。
(難易度が高いほど燃えるとはよく言ったものだ)
ぱらり。また一枚紙を捲る音が部屋に響く。
俺は一度彼女の持つ本に目を落としてから、伏せられ睫毛の影がかかった目を再び覗き見る。すると、顔の向きはそのままに、上目遣いで此方を見るソフィアと目が合った。
自然と息が詰まる。不意打ちとも言えるそれに動揺する自身を持ち前の技術で隠す。
「どうした？」
「ちょっとわからない箇所があって」
「どうわからない？」
隣に座り、本を覗く。俺の解釈を教えれば、ソフィアは礼を言うとすぐに集中してしまった。
礼の際に間近で笑むのを見てしまった俺はというと、二度目の不意打ちに困惑していた。
顔が、熱い。俺はこんなに、女に弱かっただろうか。
いや違う。ソフィアだからだ。こいつだけが、俺を良くも悪くも揺らがせる。
明日もこんな一時を過ごしたい。そう思うが、明日は独占することすら出来ない予感がして、俺はアジトに一つ増えた気配に溜め息をついた。
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澪 - オチ希望出来ればヒソカでお願いしたいです。 (2021年9月9日 7時) (
レス) id: 790f68b113 (このIDを非表示/違反報告)
クロ(プロフ) - ヒソカの花嫁さん» ヒソカの花嫁様、コメントありがとうございます！ヒソカ希望いただきましたー！何もなければご希望に答えてヒソカオチか、オチごとに小説を分けるか致しますので、評価ボタンを押して楽しみにお待ちください！← (2019年5月6日 21時) (レス) id: dcc16283b8 (このIDを非表示/違反報告)
ヒソカの花嫁(プロフ) - オチ希望はヒソカでお願いしたいです！ (2019年5月6日 21時) (レス) id: 6af5523d08 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：クロ | 作成日時：2019年4月8日 3時
