イルミの場合【オチ決めアンケート投票支援用サンプル】 ページ47
【イルミ side】
くるくる、くるくると手の内の針を弄ぶ。この針は半年以上も念を込め続けている、手持ちの中でも超とびっきり貴重な針だ。
毎日毎日念を込めているけれど、オレは未だこの針を使うべき相手に使えないでいる。
「イルミ」
「なに」
「どうしてそんなに悲しげな顔をしているの?」
顔をあげると、笑みを浮かべている割りには無機質なソフィアの瞳と目があった。
悲しげな顔……って。
「オレには感情はないよ。気のせいじゃない?」
「うーん、でもなんだかそんな気がしたのよ」
違う。きっと感情はある。じゃなきゃ、この胸のうちに渦巻くものの説明がつかない。
オレはまた針に視線を落とす。特別製の針に今日も念を込める。
(ソフィアが、オレだけを見てくれるように)
彼女はオレの光だ。オレだけの、光だ。ソフィアだけがオレを”ただのイルミ”として見てくれる。
オレが手に入れるのだって勿体ないのだから、他のやつらに渡すのだってもっと勿体ない。彼女が照らす闇はオレだけがいい。
そう思って、ずっと念を込めているけれど。彼女を闇に沈めるのが何となく嫌で、針を使わないまま時間が経った。
「それ、刺したい?」
「……気付いてたの?」
オレの膝に手をついて針をじっと見る彼女。思わず、手首の動きだけでソフィアから針を遠ざける。
聞いてみれば、彼女はあっけらかんとした態度で返答を差し出した。
「何となくは。起きてる間なら刺せるわよ?」
「どうせ防御するんでしょ。無駄に疲れることはしたくない」
ソフィアは曖昧に微笑んだ。どちらとも取れる表情。
これで彼女が防御しないと言ったら自分はどうするだろうか。
(刺す?)
刺したら、オレだけのものになる。オレのいうことだけを忠実に守る人形に。
でも、その時きっと自由で綺麗な彼女は闇に沈んでいなくなってしまう。
この針はとても強力だ。何故なら、半年以上も同じ念を注ぎ込んでいるから。
でもそれは、刺したら彼女の自我は消えてしまうことを意味している。
オレの言うことだけを聞く。単純な命令であるだけに、念の支配は強力。
(刺さない?)
否、刺せない。どちらにせよ彼女は防御するはずだ。本気で防御しようとするなら、オレですら刺せないだろう。
そう思いたい。刺したくない、なんて、闇人形らしくもない。
相反する思考をどこかに封じ込めるように、針に念を込め続ける。どうしてその思考を彼女に向けずにいるのか、まだわかってないけれど。
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澪 - オチ希望出来ればヒソカでお願いしたいです。 (2021年9月9日 7時) (レス) id: 790f68b113 (このIDを非表示/違反報告)
クロ(プロフ) - ヒソカの花嫁さん» ヒソカの花嫁様、コメントありがとうございます!ヒソカ希望いただきましたー!何もなければご希望に答えてヒソカオチか、オチごとに小説を分けるか致しますので、評価ボタンを押して楽しみにお待ちください!← (2019年5月6日 21時) (レス) id: dcc16283b8 (このIDを非表示/違反報告)
ヒソカの花嫁(プロフ) - オチ希望はヒソカでお願いしたいです! (2019年5月6日 21時) (レス) id: 6af5523d08 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:クロ | 作成日時:2019年4月8日 3時