ED:｢自由｣を求めた｢怪物｣たちは ページ27
宮舘｢…お前、それ全部捨てんの？｣
佐久間｢え？うん｣
数週間後、やっと意識を失った面々が目覚めた頃。
S隊は、α国を抜け出してどこか別の国へ行く為への準備を始めていた。
佐久間｢…何か、何で好きだったんだろうなぁって｣
宮舘｢…そう｣
アニメのグッズを処分している佐久間を見て、宮舘は何も言えず立ちすくんでいた。
宮舘｢荷物、それで全部？｣
佐久間｢うん、あべちゃんのとこ行ってくる！｣
妙に阿部にウザ絡みしに行くようになった佐久間の後ろ姿を見送って、宮舘は、カツン、という音と共に廊下を反対側に進む。
渡辺｢涼太！階段降りるの？大丈夫？｣
宮舘｢大丈夫だって。もう慣れた｣
あの一件で、右足に麻痺を残した宮舘はずっと杖を着いて歩いていた。戦線には、もう参加出来ないと宮舘自身がそう言っていた。
それからと言うものの、移動の際に慌てたように来る渡辺を宥めながら情報室へと向かった。
＊
阿部｢…｣
佐久間｢あーべちゃん！｣
一方、医務室に高らかに入った佐久間は、窓の外をぼんやりと眺めている阿部に子犬のように駆け寄った。
佐久間｢あのねあべちゃん！俺のお腹の傷、大分癒えたんだよ！後ね後ね、今日のご飯はロールキャベツだって！舘さんの作るロールキャベツ本当に美味しいもんね！楽しみだよね！ね？｣
阿部｢…｣
あの時、振り上げた剣はそのまま降ろされる事がなく。
されどそれを阿部は不思議そうな目で自らの手を見ていた。
何故か刺せない自らの手と、佐久間の姿を何度も見て。
あぁ、無意識的に、殺せないんだ。
なんて思った佐久間は、阿部の剣をひったくって自ら腹を刺した。
…その後、阿部がどうなっていたかは知らない。
だけれども、同じ場所で自分と共に倒れていたらしい。
阿部｢…｣
目覚めてからも、彼が口を開く事はなかった。
表情も変える事なく、ただ医務室のベットの上でぼんやり外を眺めたり、じっと虚空を見つめたり。
人格も、情報の一部と同じようになってるんじゃないか、って舘さんが言っていた。
だったら、俺がいつもみたいに話しかけたら戻ってくれる？と聞くと、｢可能性はなくはない｣って。
だから、ずーっと、こうやって話しかけてる。
何か…俺も何だか、こう、心が寂しいし。
最近、やっと目が合うようになったんだよ！
向井｢佐久間くん、お昼ご飯やって！｣
佐久間｢はいはーい！ほらあべちゃん行こ！｣
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☆(プロフ) - 初めまして！最初から全部読みました！とても楽しかったです！お話は終わってしまいましたが、次回作も楽しみにしてます。これからも応援してます。頑張ってください！ (2020年3月13日 0時) (
レス) id: e1dc0757dd (このIDを非表示/違反報告)
あいり - はじめから読んでた大ファンです！終わってしまったのがとても寂しいです...読みながら1人で泣いたりしてました、、、次回作も楽しみです！！本当にお疲れ様でした。 (2020年3月11日 18時) (レス) id: 3f6576ce64 (このIDを非表示/違反報告)
月城(プロフ) - 完結お疲れ様です！この作品たぶん占ツクで一番好きな作品です。次回作も楽しみに待ってます(*｀▽´*) (2020年3月10日 22時) (レス) id: 8e4065c834 (このIDを非表示/違反報告)
ラナ - 始めから読んでいた大ファンです！お疲れ様でした！ありがとうございました！ (2020年3月10日 19時) (レス) id: 2b683dc857 (このIDを非表示/違反報告)
なつみ - はじめまして。完結お疲れ様でした。とてもとても楽しかったです。こんなに更新が楽しみなお話は初めてだったのではと思うほどに。ストーリーの設定から1人1人の設定も凄く良かったです。目の色を現す言葉選びもとても素敵でした。楽しい時間をありがとうございました。 (2020年3月10日 18時) (レス) id: eda40c9eaa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：湊都 | 作成日時：2020年3月5日 14時
