Freiheit

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普段あんなに騒がしい基地内が、ここまで静まり返ったのは片手の指に入るくらいだろう。

岩本｢…のやろう！とことんこっちの逃げ道を潰そうってか！？｣
向井｢照くん落ち着いて！｣
ラウール｢ど、どうするの、これ護衛の岩本くん以外同伴出来ない…よね？｣
渡辺｢誰か女装したら？｣
佐久間｢即バレしない？それ｣
深澤｢いや、それがあった｣
全員｢は？｣

深澤｢て訳で佐久間｣
佐久間｢は！？俺かよ！｣
深澤｢だって身長的に怪しまれなさそうなの佐久間くらいじゃん｣
岩本｢まあ…目黒を同伴させるにはこれしかないか…｣
佐久間｢ちょっと待って本気で言ってるの？｣
目黒｢大丈夫だよ佐久間くん｣
佐久間｢いや俺が大丈夫じゃな｣
目黒｢ちゃんとエスコートしてあげるから｣

余談だが、この時の目黒の顔を真向かいに座っていた向井はこう話している。
｢あれ、ほんまに女の子堕とす顔やったわ｣

＊

さて、日は過ぎ軍事パーティー当日。
普段は軽く着崩したり、上着を脱いだりしている軍服をカッチリ決め込んだ深澤、岩本は、阿部と共にパーティー会場へと足を踏み入れた。

渡辺｢…佐久間これで即バレしたら面白いな｣
宮舘｢洒落にならないけどな｣
会場から少し離れた木の上で、スナイパーライフルを構えた渡辺と宮舘がいる。
そう、パーティー前日、宮舘は嫌な噂を聞いたのだ。

｢S隊総監督を、A隊隊長が暗殺しようと目論んでいる｣
何でも、パーティー中に乱闘騒ぎを起こし、その混乱に乗じて暗殺するつもりだ、と。
深澤の｢力｣の関係で、死ぬ事はまずないだろうが。
彼の｢力｣がバレてしまえば、それこそA隊はそれを揚げ足に取り、失脚させるに違いない。

遠距離班の渡辺、宮舘を2人とも出撃、向井とラウールは会場付近で待機
という厳戒態勢モードで挑む事になった。
で、肝心の目黒と佐久間はというと。

佐久間｢めめこれやばい…ヒール辛い…｣
目黒｢3cmくらい我慢して。あ、そうだ。会場着いたら喋らないでね｣
佐久間｢え？あ、うん｣

｢お名前の方をお聞かせ願いたいのですが｣
目黒｢雪代龍臣です｣
｢そちらの方は｣
目黒｢…あぁ、雪代咲です。すみません、妻は今過度のストレスで声が出ない状態でして…｣
佐久間｢！？｣
｢左様でございましたか、失礼致しました｣

目黒【そういう設定で行くから、よろしく】
そう渡されたメモに、佐久間は改めて目黒の強かさを思い知った。
後に佐久間はこう証言している。
｢1番めめを敵に回したらいけないなって思った｣

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