＊ ページ21
辺りに響くは悲鳴と絶え間なく続く銃声。
煙に覆われて視界もほとんどままならないまま、彼は走る。
自分たちの住処はどこだ、あの子たちは無事だろうか。
走って、走って、もうすぐで住処が見えるという時、
激しい音と、吹き飛ばされる程の強風に呷られた。
痛みと熱さで不確かな視界の中、目前の家屋が塵となって燃えているのが見えた。
あれは、そう、自分たち親のいない者同士で集まっていた住処。
あちこちに散らばっていた原形を留めていない黒い塊、夜なのに夕方の空のように赤とオレンジに染まった空。
まるでそれが、いつか見たグランギニョールのようで。
目の前で仲間を殺された彼が、意識を失う前に見たもの。
それは｢紫の目をした軍人｣であった。
向井｢……ぁあ！！｣
身体中に冷や汗をかいていた。
あれは、夢だ。そう、夢だ。今自分がいるのは、α国のS隊の軍基地。
��国の貧民街じゃない。
目黒｢…本当に大丈夫なの？｣
向井｢うわぁ！！｣
目黒｢落ち着いて康二、俺だって｣
向井｢…………めめ？何で？｣
声のした方では、目黒が部屋のデスクの上で足を組んで座っていた。
目黒｢夜の散歩してたら、誰かさんがうんうん唸っててうるさかったから。��国に住んでた頃の夢でも見た？｣
向井｢何でわかったん…？｣
目黒｢わからない方がおかしいと思う｣
向井｢…紫の目ぇした軍人｣
目黒｢ふっかさん？｣
向井｢違う。…って聞いた｣
目黒｢へぇ｣
向井｢そいつに、仲間と住んでた家焼かれてん｣
目黒｢それで仇討ちしようとしたって事？｣
向井｢うん。…照くんは凄い形相で俺を殺そうとしたけど、ふっかさんが、爆笑して、｢人違いだよ！でも君面白いし、強いね！うち来ない？｣って｣
目黒｢…安易に想像つくね｣
向井｢やろ？｣
目黒｢…落ち着いた？｣
向井｢一緒に寝て｣
目黒｢は？何で｣
向井｢俺がまた唸ってたら、殴ってもいいから起こして｣
目黒｢…わかったよ、その時は氷水かけてやる｣
そう言って、目黒は向井のベットに入る。
成人男性2人が入るには狭すぎるそれに、向井は安心感を感じてすぐに眠りについた。
その日はあの悪夢は、見なかった。
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サラダ(プロフ) - 湊都さん» ありがとうございます！ちなみにめめは佐久間のこと君づけします、。ホントにたくさんすいません、！ (2020年2月14日 22時) (
レス) id: a856ca8d9b (このIDを非表示/違反報告)
湊都(プロフ) - サラダさん» ありがとうございます（土下座）。呼称は本当にわからないのでありがたいです。書き直します。 (2020年2月14日 21時) (レス) id: 9124562c1c (このIDを非表示/違反報告)
サラダ(プロフ) - 紅一点小説を書いているものです。Twitterで見かけて読んでみたらはまりました！！ページ21の紫色の目をした軍人というあたりで"ふっかくん"と読んでいますが、康二君は"ふっかさん"って言います。ぜひ知っていていただきたいです！！ (2020年2月14日 19時) (レス) id: a856ca8d9b (このIDを非表示/違反報告)
おちゃ(プロフ) - 湊都さん» お答えいただきありがとうございます。あべさくですね！色の表現も素敵です！変な質問失礼しました。 (2020年2月5日 20時) (レス) id: aae655c3b8 (このIDを非表示/違反報告)
湊都(プロフ) - かごめさん» ありがとうございます。刺さっていただいたようで何よりです (2020年2月5日 19時) (レス) id: 9124562c1c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：湊都 | 作成日時：2020年1月30日 1時
