1、別れ ページ3
黄side
それは昔。目がかゆかったから、キュッと目を瞑り、ゴシゴシと擦った。今では、『あのとき5秒間目を閉じていたのか』と思うが、あの頃は凄く怖かった。今までいた場所とは違って、一人しかいなくて。
錦「どこ、ここ。どこぉ…？」
後ろからフワリと肩を叩かれた。
『だれ…？』と声をかけると、その人は口を動かした。
「君は、能力者になったんだよ…。」
錦「の、う…？」
「ここは、予知の世界。この能力は元々僕のだったんだ。」
その人は、『五秒目を閉じるとそこに行けて、手を二回叩くと戻れる』と言った。その男の人に『おじさん。幽霊？』と聞くと『んー、そうだね。』と言っていた。昔からあった霊感に、この人もそうだと思った。
パンパンと二回手を叩くと、元々座っていたところにいた。その日から、五秒目をつぶり予知の世界へ行っては、手を二回叩き戻ってくる。その繰り返しだった。予知の世界は明るい俺の未来が見える。だから、大好きだった。
錦「なぁ、オトン。おれな、予知できんねん。」
小学生の頃、オトンに打ち明けた。
予知能力がある。目を閉じて、五秒かぞえて…。
目を閉じて、五秒数えた。全く、同じ世界にいた。
「亮、それは…。」
胸元のアザ。昔からある無限を意味するマークをしたそのアザをみて、両親は顔を歪めた。
両親に抱き抱えられた。玄関を出てドアの前に置かれた。初めて怖い予知だと思った。
そう、だってさっき目を閉じて、五秒数えたから。これは、予知の世界なはず。何してたんだ、両親に伝える予定だったのに。
パンパンと二回手を叩いた。その場から少しも動かなかった。急に涙が溢れた。何回も、何回も叩いた。少しも動けなかった。
ドアの隙間から投げられたのは、俺の手荷物だった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 91人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
夜義 - オムライス姫さん» ありがとうございます！とても嬉しいです！更新遅いですが、これからもよろしくお願いします！ (2018年3月21日 23時) (
レス) id: b30ff6e487 (このIDを非表示/違反報告)
オムライス姫(プロフ) - 能力系の話好きでお気に入りに追加させてもらいました！続き楽しみです！ (2018年3月19日 13時) (レス) id: 45ce197cf6 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：夜義 | 作成日時：2018年1月5日 14時
