眠りの剣士と鬼の娘【鬼滅の刃】 (ページ7)

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ちかいページ7

稲妻が部屋全体に走ったかと思うとさっきまで私と対峙していた鬼の首はゴロンと足元に転がっている。

「助かりました！おかげで顔がぐちゃぐちゃにならずに済みました！

．．．．．って、善逸？」

私の目の前に立ったまま一向に動く気配のない善逸を不思議に思い彼の顔を覗き込むように近づく。

善逸の正面に立つと突然手首を掴まれグイっと引き寄せられた。

「わう．．．善逸！？どうしたんですか！？」

目の前には山吹色の羽織。厚い胸板からはどくどくと心臓の音が聞こえて、彼の香りに包まれている。

そう、私は所詮彼に〝抱きしめられている"のだ。

「ぜ、善逸が助けに来てくれて本当に嬉しかったです！ありがとうございます！

　さあ、オニ退治も終わったことですし町の人たちに報告に行きましょう。」

まわりいっぱいに広がる彼の香りがどうにももどかしくて、無意識に顔に集まる熱を冷まそうと無理に笑うも返答無し。まいったな本当に。

目は覚めているはずなのにさっきから一向に私を離そうとしない善逸。これは、もしや．．．

「もしや、心配してくれた、のですか？

　安心してください善逸。貴方が助けに来てくれたおかげでホラ！この通りピンピンしてますよ！

　．．．．．それに私は〝鬼"ですから、並大抵のことじゃ死にはしませんよ。」

「．．．．．だからだよ。」

「へ．．．？」

私を抱きしめる力がギュッと強くなる。

「たとえ鬼でも、鬼じゃなくても死んでほしくない、生きていてほしいんだ。

　俺にとってAちゃんはAちゃん以外のなにものでもないから。」

．．．ああ、そうか。

『この世から消えていい〝人″なんて、存在しないんです！』

―人、なんて。

耳が良い彼には届いていたようで。

「．．．善逸、私は死にませんよ。たとえ鬼だとしても。」

この人はどこまで私に優しくしたら気が済むんだろう。ああ、私はやっぱり．．．

「それに今はやらなきゃいけないこともありますしね！！

　私決めました！

　これからどんなことがあっても、善逸を守り抜きます！！」

「Aちゃん！？普通それ逆じゃない！！？」

「だから強くなります！オラわくわくすっぞ！！」

「いや嬉しい！嬉しいけども！！

　俺そんなに頼りない！？」

「ふふふ」

「なにふふふって可愛い！じゃなくて何か言ってよォ――！！」

彼のことがとっても大切だから。

大切だからこそ生きていてほしい。そう思うんだ。

　