お堂から ページ5
奥に近づくにつれて強くなる鬼の気配。それと人の血の匂いも微かにする。
さっきの予想が確信に変わった。尚更急がなくては。
少し走ると小さなお堂が見えてくる。間違いない。あのお堂の中に目的の鬼がいる。
あのお堂、一見出入口が無いように見える。うーん。探している時間も勿体ないよね。
足に力を込める。全身が逆立つのを感じ、走っている勢いはそのままお堂の壁を蹴破る。
-ドォン
少しの破壊音と共にお堂の中が露になる。中には大柄な鬼と...男の子が一人!よかった。まだ無事みたいだ。
「なんだぁ?鬼が何のようだ。これは俺の獲物だ渡さねぇぞ!!」
「この子は君の獲物にさせないし、渡してもらわないと困るんですよッね!!」
大柄な鬼に向かって回し蹴りをお見舞いする。急所には当てられなかったけれど相手がよろけた隙に男の子を引き離すことができた。よし。
一先ず男の子の無事を確認しようと手を伸ばす。が
「ひぃっ...」
怯えたように後ずさる男の子を見て思わず手を引っ込める。
そうだ。鋭い牙に尖った爪。開ききった瞳孔。鏡を見なくても分かる。今の私の姿は紛れもなく“鬼”だ。
ズキリと心臓が痛む。
男の子に背を向けたまま、出来るだけ優しく話しかける。
「君、このまま振り返らずまっすぐに山を降りるんだ。そうしたら直ぐに町に着くからそこにいる金髪の剣士にこう伝えて。
“鬼が出た¨と」
「お、お姉ちゃんは...?」
「私は生憎人より頑丈に出来てるから大丈夫だよ。
さあ早く!早く行くんだ!」
男の子が走り出したのを見届けてから鬼を見る。大きな体。きっと今まで何人も食ってきたんだ。対して私は食っていない。力の差は歴然だろう。
それでも鬼同士では殺しあうことが出来ない。もう直ぐで善逸も来る。この勝負、こいつを引き留められれば勝ちだ。
「鬼のくせに俺の獲物を逃がしやがって!!早くそこを通せ!!」
相手が勢いよく降り下ろしてきた拳を後ろに飛んで避ける。重い一撃。やば。当たったら絶対痛いぞこれ。
「生憎私は人を食べるなんて悪趣味なことするつもりは無いし、させるつもりも無いんです。
なので絶対に先には行かせません!ごめんなさいね!!」
次々とやって来る拳を避け続ける。よし大丈夫だこのままならいける!
なんて油断したのがいけなかった。
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人形師(プロフ) - 凄く面白いです!続きが気になります。応援してます!! (2019年8月13日 19時) (レス) id: 05191dc1a4 (このIDを非表示/違反報告)
ビーフおあちきちー(プロフ) - ひにゃたこさん» そうなんですね!私はアニメしか見ていないのですが、流石です(?)m(__)m (2019年8月1日 1時) (レス) id: 006724dd3d (このIDを非表示/違反報告)
ひにゃたこ - ビーフおあちきちーさん» いや、家に全巻あるので(謎のどや顔) (2019年7月30日 13時) (レス) id: 2190e9e698 (このIDを非表示/違反報告)
ビーフおあちきちー(プロフ) - 正解だ!よォく分かったな!(孫〇空風) (2019年7月29日 15時) (レス) id: 006724dd3d (このIDを非表示/違反報告)
ひにゃたこ - アッ、ド〇ゴン〇ール.... (2019年7月28日 9時) (レス) id: 2190e9e698 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ビーフおあちきちー | 作成日時:2019年7月13日 15時