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第九十八話 ページ34

女1「ほら、そろそろ帰るわよ!」


子1「はーい、ママ!」


日が暮れそうな時間帯になると、親は子供を連れて公園から去る。


私は、何か考えている時に、大抵ここに来たものだ。


A「そういえば、雅樹ともよく来たな__」


いろんな事を思い出すたびに、不安に胸が締め付けられる。


クロハはちゃんと帰ってくるのだろうか。


ブランコをひたすらゆっくり動かしながら、顔を俯けていた。


コノハ「A。」


顔を上げると、コノハが顔を覗き込んでいた。


コノハ「…どうかしたの?」


A「あっ…いや、なんでもないよ?」


一瞬、クロハが迎えにきたような気がした。


コノハ「皆、心配するし、帰ろう?」


コノハは元の体制に戻った。


A「いや…もうちょっとだけここにいたいな……。」


コノハ「……分かった。」


私がお願いすると、コノハは頭にクエスチョンマークを浮かべるも、承諾の返事をくれた。


コノハ「何か、嫌な事でもあったの?」


コノハは私の隣のブランコに乗って尋ねてきた。


A「いっ、いや、…別に?」


コノハ「…A、悲しそうだったからさ。」


A「…そうかな?」


やっぱり、隠しきれていないのか。


コノハ「…僕の事、嫌い?」


A「…へ?」


コノハ「A、最近僕の事避けてるし…。」


途端にコノハはしょげた顔をし、少し俯いてしまった。


A「あっ…!いやその…別に嫌いな訳じゃなくて…!」


慌てて弁解しようとするも、言葉が拙い私には到底うまく出来ないのだった。


A「…っ…ちょっと…恥ずかしかっただけっ!それだけだから…!」


コノハは納得しかけたのか、未だにしょげた顔を見せるも、視線をこちらの方に向けた。


コノハ「良かった…。」


彼は安堵の声を漏らしていた。


A「えっ…だ、大丈夫?」


コノハ「うん。僕、Aに嫌われたらどうしようかと思っちゃった。」


A「嫌われるって…別にコノハは悪くないのに。」


コノハ「そんなの、嫌だよ。だって、僕…。」


コノハは微笑み交じりにこう言った。








「Aが好きだから。」

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作者名:Madicc | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/redwhite/  
作成日時:2014年1月20日 2時

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