第九十五話 ページ31
シンタローSide
マズい。
この事態は非常にマズい。
Aにこの事がバレてしまったら元も子もない。
A「恋愛と私…って言ってたけど、何の話してたの?」
他の連中は気づいていないのか、その時は誰も振り返らなかった。
シンタロー「あ、いや…。」
思ってもいなかった場面に、うまく言葉が出せず、顔が熱くなるのを感じているだけだった。
こればかりは仕方がないので、赤面状態のまま咳払いをしてやり過ごそうとした。
シンタロー「な、なんでもないぞ?」
A「シンタロー、顔がすごい赤いけど…大丈夫?」
Aに言われて、さらに顔の熱さが増す。
ついには、耳まで熱くなってきた。
シンタロー「い、いやこれは暖房が熱いだけだ!ちょっと部屋に戻って涼んでくる!」
廊下音をバタバタと響かせ、俺はようやく部屋に逃げ込む。
A「もうすぐ冬なのに…?」
カノ「あははー、やっちゃったね、シンタロー君。」
二人が何か言うも、素早くリビングから出た俺の耳には届かなかった。
シンタロー「はあ…なんでこうなるんだよ…。」
ベッドに寝転がったものの、先程から鳴り止まない鼓動が大きく響き、顔はまだ熱い。
俺はその音が聞こえる胸に手を当てた。
シンタロー「何なんだよ…本当に…。」
すると、パソコンがフッと明るくなった。
エネ「プククッ、ご主人本当に素直じゃないですねー。」
逃げた先に邪魔者一名。
俺のつっこみ可能ゲージはすでに0まで減少していた。
シンタロー「なんだよお前まで…。」
寝転がったまま俺は答えた。
エネ「ガツンと言っちゃえばいいんですよ、ガツンと!」
ガツン、という擬声語と共に、青い電脳少女は拳を上に振った。
シンタロー「訳が分からねえ。てかなんで俺の部屋にいるんだ。」
エネ「ふふ、なんででしょうね?」
本当に訳の分からないやつだ。
これじゃあまともにさっきの話の誤解を解決する事なんて___
カノ「おーい、シンタロー君?」
突如、後頭部にゴツッと鈍い痛みが走った。
シンタロー「うっ……。」
勢い余って、棚に頭をぶつけた。
カノ「ちょ、大丈夫?僕だよ?」
俺に問いかけたカノが、ドアからひょっこりと顔を見せた。
シンタロー「お前かよ…今度は何なんだ。」
またどうせくだらない話でも持ちかけてきたのだろう。
カノ「やー、それがね…A、あの後セトと話してて、散歩行っちゃった。」
シンタロー「…は?」
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作者名:Madicc | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/redwhite/
作成日時:2014年1月20日 2時