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第九十四話 ページ30

シンタローSide


女子組はトランプゲームという事で、俺は今カノ、セトと話している状態だ。


実にこいつらが腹立たしい。


理由はもちろん、一人は宿敵、もう一人は冷やかしだからだ。


カノ「ほら、シンタロー君も入ってきたら?」


シンタロー「誰が入るか。」


セト「じゃあ俺がこっそりAの心を覗きに行くっすよ!」


シンタロー「それはやめろ!」


セト「まあ、昨日覗いちゃったっすけどね。」


カノ「え、どんな?」


確かに、それは気になるものだが、これでは周りの奴等がさらに野次馬と化してしまう。


というわけで、当然俺は聞かないフリをしながら聞く。


セト「純粋なんすよ!Aは愛される素質があるっすね!」


カノ「おー!でかしたセト!」


なにがでかした、だ。


俺にとっては得なニュースでもあるが、こいつがいれば損でしかない。


セト「…でも。」


カノ「…?」


突然弱々しくなったセトの声に気づき、カノも俺も耳を疑う。


セト「心の片隅にちょっと翳りがあるんすよ。」


シンタロー「どんなだ?」


気になった俺もセトに尋ねる。


セト「笑っていても無表情でも、本当は寂しい。自分の事を分かってもらいたい。そんな感じっすね。」


カノ「寂しい…ね。」


俺は横目でAを見た。


いつも通りの笑顔でトランプゲームをしている。


だとしたら何を抱え込んでいるのだろうか。


セト「要は、Aは自分の理解者が欲しいんすよ。」


カノ「なるほど。シンタロー君。」


そう言ってドヤ顔を見せつけるカノ。


シンタロー「…なんだよ。」


カノ「ぼくが一番Aの理解…」


シンタロー「アホか!!」


これは大問題だ。


遊園地でAがベンチに戻った時は、実にガックリした顔だったはずだ。


この隠れS性の生き物を俺がどうしろと。


セト「ならシンタローさん、出番っすよ!」


シンタロー「なんで俺だよ!?」


セトは自慢気な顔で話す。


セト「さっきのはちょっとした恋愛アドバイスでもあるっすよ!これをきっかけに話していけば…。」


シンタロー「どこがアドバイスだよ!お前のアドバイスなんかで行ったら、Aにデリカシーのない男だと思われるじゃないかっ…!」


そう言って怒鳴ったのが間違いだった。


それを聞いて振り向いたのが、


A「…シンタロー?」


Aだったからだ。

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作者名:Madicc | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/redwhite/  
作成日時:2014年1月20日 2時

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