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第六十九話 ページ3

クロハ「楽しそうだな。お前。」


A「そうかな?」


いつも通り、私は夜にクロハと話している。


あれからは、毎晩クロハが来て、うっとおしいと思っていたが、慣れてしまった私だった。


そんな自分がちょっと怖い。


クロハ「ああ。だってそんなに普段笑ってる事ないだろ。」


A「え、その言い方酷くない?!」


クロハ「酷くない。俺と初めて会った時からすっごい警戒してたろ。」


A「うっ…だって…。」


そりゃあ警戒しないはずがない。


だって、クロハは___


クロハ「悪かったよ、そんなにしょぼくれるなって。」


A「やっぱり酷い。」


クロハ「なっ、そっぽ向く事ないだろ。なあ、こっち向けって。」


クロハは焦っているようだが、なんだか、クロハの方を向ける気がしない。


不安な時は、あの酷い悪夢が脳内で蘇る。


クロハ「…なんか、あったのか?」


振り向かずに、目だけでクロハを見ると、クロハは困惑した顔になっていた。


A「…ちょっと前に」


クロハ「…なんだ?」


A「ちょっと前に、クロハが…いなくなる夢見た。」


あの夢を思い出すだけで、涙が出そうになる事もある。


A「馬鹿だよね、私。情緒不安定ですぐこんな夢見るし…。」


決心してクロハに言ったものの、心の中は恐怖心でしかなかった。


クロハはしばらく怪訝そうな顔をしていたが、何かを思い出したような顔つきになり、私を強く引き寄せた。


A「なっ…何…?」


気がつけば、私はクロハの腕の中に収まっていた。


クロハ「バーカ。心配しすぎなんだよ、お前は。」


クロハは、くしゃくしゃと私の頭を撫でながらまた言った。


クロハ「俺がいなくなるわけないだろ。ずっとお前の側にいるから。」


A「う…。」


たしかに、私の思い込みだけなのかもしれない。


クロハ「おっおい!?泣くなって。ほら。」


A「…うん。」


クロハは先ほどより強く私を抱き締めた。


A「クロハ…ありがとね。」


クロハ「別に…こんな事どうってことないしな。」


なんだか、素直じゃないな、クロハも。

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作者名:Madicc | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/redwhite/  
作成日時:2014年1月20日 2時

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