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第八十三話 過去編 ページ18

月日が経っても、雅樹とは関係が複雑化していた。


そんなある日、私に人生を変えるようなニュースが入ってきた。


A「ん…これってどこかの歌手の事務所?」


それは、ちょうど受験が受かってから入ってきたニュースだった。


とある事務所からスカウトされたのだった。


『素晴らしい曲ですね!よかったらうちの事務所においでいただけませんか?』


そのメールを読んでいると、通称おちゃらけ犬がやってきた。


雅樹「お、すげーじゃん!それ。スカウトされてんじゃないのか?」


A「…そうだよね?」


雅樹「お前、実力が認められたんだよ。事務所に。」


A「…え?本当に?」


雅樹「マジだよ。都会に行けるぞ!」


正直信じ難いニュースだった。


その事を両親に伝えると、


父「おお、すごいな。お前そんな才能あったのか。」


母「すごいじゃん!今日は赤飯ね。」


おい、お母さん、お父さん。


今まで私を何だと思ってたんだ。


それはさておき、二人は大変驚いた様子だった。


A「でも、そうなると都会で暮らす事になるよね。高校とかも。」


母「そうね。高校入学の手続きはお母さんがやっておくから家はあそこの家使いなさい。」


A「あそこって?」


母「お母さんたちが以前住んでいた家よ。」


一度しか行った事はないが、都会にはお母さんたちが住んでいた家がある。


今の家よりはなぜか広い。


母「でも一人で行かせるのもなんだから、雅樹くんも付いていかせましょう。」


雅樹「え、俺もいいんですか?」


一番聞きたくなかった言葉が母の口から出た。


思えば、もう今日が人生の最悪な日ベストスリーに入るかもしれない。


母「ええ。ちょうど部屋も二つあるし、Aの事をよろしくね。」


雅樹「あ、ありがとうございます!」


その時のあいつの顔は、いかにも嬉しそうで、『ああ、俺はやっと変われるんだ』みたいなオーラを出していた。


私は大きい溜息をついて、その場を立ち去ろうとすると、


雅樹「おーいA、俺も曲の援護させてくれよ!」


肩を掴んでぐっと親指を立てた。


ああ、これ絶対期待を裏切っちゃいけないパターンだ。


しかも私たちはいつの間にか名前で呼ぶ仲になっていた。


A「う、うん…。」


苦笑いでその場をさっそうと立ち去る。


本当に今日は最高で最悪な日なのかもしれない。


そして、私たちはこの田舎の家を雅樹と共に去っていったのだった。

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作者名:Madicc | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/redwhite/  
作成日時:2014年1月20日 2時

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