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第八十一話 過去編 ページ16

私は___


一人だった。


いや、正確に言うと、友達と呼べる人がいなかった。


小さい頃に幼なじみと遊んではいたが、進級の時にクラスはいつも離れていたため、自分から会いに行く事はなかった。


そのため、二、三年生の頃はうまく人と関わる事が出来なかった。


女1「ねえ、Aちゃんもドッヂボールして遊ぼうよ。」


A「え…でも。」


私は、ちょうど本を読むところであった。


A「わ、わたし…。」


本が読みたい。


そう言いたいだけなのに自分の意見を渋っていた。


それに、あまり外遊びは好きではなかった。


女2「もういいよ。皆、早く外で遊ぼう。」


そうやって、また女の子たちは私から離れていって、教室を出た。


「…。」


私は自分の意見をあまり言えないため、先生との対応にも困っていた。


でも、やっぱり寂しかった。


誰か、自分の事を分かってくれる人がいて欲しかった。


そうして、時が経って中学生になった。


昼休み、いつも通り誰もいない教室の机に本を出して読むと、どこからともなくこちらに向けてひそひそ声が発せられた。


女1「水崎さんって大人しいらしいよ。」


女2「でも、なんか愛想悪そうじゃない?」


女3「確かに。あんまり人と口を聞かないんだって。」


女4「それって無口なだけじゃない?」


もう、こんな陰口や噂は慣れている。


だが、ひそひそ声が異常にうるさかったので、読書に集中出来なかった。


なんとか耐えて本と睨めっこをしていると、ようやくその子たちは去っていった。


やっと行ったか、と心中ホッとした時、上の方から声がした。


?「お、水崎またこんな本読んでんのかー。」

A「…矢倉?」


幼なじみの矢倉雅樹がいた。


なぜか幼なじみなのに、この頃苗字同士で呼んでいたのかは、自分でも分からない。


A「同じクラスだったんだ。」


雅樹「気づかなかったのかよ…そっか、ぼっちだからか。」


A「喧嘩売ってんの?」


雅樹「まあそう怒らずに。」


なんだこいつは。


再開した途端人の嫌味を言うという暴挙にでも出たのか。

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作者名:Madicc | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/redwhite/  
作成日時:2014年1月20日 2時

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