黒12 ページ13
＝A視点＝
ツ「それであのクソ親父、Aのこと知ってたくせにずっと黙ってやがったんだぜ？酷いと思わねぇ？」
湯呑をダンッと音を立てて置いたツナが憤懣遣る方無しといった風に言う。
僕達はそんなツナにうんうんと頷くに留めた。
こういう時は下手に口を挟まない方がいいというのは長年の付き合いで知っているからだ。
ツ「俺達がこの4年間どんな思いでいたと……！大体2年前に出ていった切り死んだと思ってたのに実は生きてたとかその時点でマジで有り得ねぇっての！」
帰ったら帰ったで厄介ごと持ち込みやがって！
ここぞとばかりに溜め込んでいた不満を一気に吐き出しかねない勢いに苦笑を一つ。
お茶と一緒に出された茶菓子を食べていると素敵リーゼントさんがおかわりを注いでくれる。
見た目に反してなかなかに気遣いが細やかな人だ。
あ「ありがとな、草壁さん」
草「いえ。綱吉さんもおかわりいかがですか？」
ツ「……いただきます」
草「はい」
流石に親切に八つ当たりするほど荒れているわけではないようで何より。
雲「家光さんが気ままでちゃらんぽらんなのは昔からだろう。そろそろ落ち着いたかい？」
ツ「……一応。……まぁクソ親父の愚痴はまたの機会にするとして」
あ、これいつか続きがあるのか。
まぁ暇な時なら聞いてあげよう。
苦笑して言う恭弥がいるここは応接室である。
風紀委員長を務める恭弥が根城にしているのが何故応接室なのかという疑問は残るものの、生徒から先生に至るまで学校中に恐れられているらしく、誰も疑問も反対もしない。
あの泣き虫が強くなったものだ。
感慨深い。
ツ「で、Aがヴァリアーにいたっていうのは分かったけど、何でこっちに？今更普通の学校生活をってわけでもないだろう」
あ「仕事だよ。『次期ボンゴレボス、沢田綱吉の通う学校に敵対ファミリーの人間がいる可能性があるから警護ついでに調査してこい』って」
ツ「あぁ、無洲島のことか」
あ「なんだ、やっぱ気付いてたんだ」
ツ「そりゃああんな分かりやすければね。リボーンだって気付いてる」
あ「リボーンって、確かお前の家庭教師になったとかいう殺し屋の？」
ツ「それ。今のとこ実害ないしで泳がしとけって。それなりに付き合いのあるとこだから疑わしきは罰せよが出来ないんだってさ」
あ「なーる」
それでか。
普段なら怪しいと思った時点で対処しているのに珍しいと思ったら。
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作者名：マシロ | 作成日時：2020年3月26日 16時
