休戦【過去編ー古代ー】 ページ1
␣␣␣␣Aとダヴィードやイヴァンが出会った時代ははるか昔、七世紀に遡る____
␣␣␣␣嗚呼、今日も寒い。
␣␣␣␣暖かいとはお世辞でも言えないルバシカを着、ズボンを履いてその上からボロボロになったシューバを着て布を羽織る。防寒には殆どならないが気を紛らわすにはいいだろう。
␣␣␣␣ザクザクと雪の中を歩く。どこに向かっているのか何のために歩いているのかは分からない。ただ、独りになりたかった。そう、それだけのこと。
␣␣␣␣僕には弟と二人の妹がいる。みんな僕の大切な家族。裕福とは言えない生活だけど僕を信じて着いてきてくれる。僕の心の支えだ。
␣␣␣␣それなのに、何故独りになりたかったのかって? そんなの僕には分からない。ブルガールからどんどん離れ、知らない森の中へ入って行く。ただひたすらに。
␣␣␣␣少しだけ、僕らの家より暖かい場所に来た。南下し過ぎたのかな。迷ったかも。
␣␣␣␣「はぁ」とため息を吐き、辺りを見回す。本当に迷ってしまったようだ。
「こんな森の中で何してるの?」
␣␣␣␣後から弱々しい女の子の声がした。振り返ると、薄茶色の髪の毛をした綺麗な目のナターシャより少し年下くらいの子がぽつんと立っていた。
␣␣␣␣これがダヴィードとAの出会い。
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作者名:ユーリー・マティンスキ | 作成日時:2017年9月4日 16時