ヘタクソ

３．F ページ4

部活も勉強も交友関係もそつなくこなす藤ヶ谷を
唯一脅かしたものは、






(う うげーーーーーー)





藤ヶ谷がまだ高校生の頃、
犬の散歩中に、ぐちゃぐちゃになったクラスメイトの死体を
見つけてしまったことだった。








『朝のニュースです』
『○○さんは入学時からあまり学校に行っておらず…』
『防犯カメラには○○さんとみられる女性と三人の男性が映っており…』





．







．






「えー放課後は保護者向けの説明会を行います。部活動等はすべて中止なので…」

以上、と担任は言い朝のHRは終わった





「太輔CDはやくかえしてよー」
「ああ うん」
「藤ヶ谷今日部活ないんだろ？ラウワンいこーぜ」
「え うちらもいきたい」
「っは？お前らに頭文字Dできんの？」
「なにそれ」
「ゲームだよ」

「○○さんって…」
「入学式もいなかったよね。闇深…」






．





キーンコーンカーンコーン






「席つけー」


授業のチャイムが鳴って今日も一日が始まる









「昨日の続き、34ページ開いて」


みんな何を言っているんだろう。


「もっかい最初から音読しとくか」


まるで全員別の生き物みたいだ。






俺とあの死体だけが仲間みたいだ









．









「っしゃあああああああ」
「ちきしょー今のはまぐれ次は勝つ！」
「次４人でやるべ」


なんて、そんな感傷はラウワンで
頭文字Dやったらすぐ忘れた。








．









俺は大丈夫

俺はこっち側

友達と笑って遊んで

テストは２０番内キープして

彼女作って、

俺はそういうことができる。





あのぐちゃぐちゃな物体は
ただの死体





．

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