ヘタクソ

１１．F ページ12

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バイト中









「生二つ、だし巻きお願いしまーす」
「はいよー、店長病欠とかきっつ…」
「大変お待たせしましたーごゆっくりどうぞー。」
「おにいさーんオーダー」
「はーい！」



「藤ヶ谷君９時間休憩なし！？」
「はい…」
「ブラックバイトだー」




金曜の居酒屋はいつも以上に忙しかった








ちくしょー
終電間に合うかな








なんとか走って間に合った







藤「あれ？千賀！」

千「おっがやさん奇遇だね。君の電車は助けてあげる」
藤「は？」

千賀は高校からの友達だ

電車に乗ってドアが閉まるのを待っていたら
目の前を通り過ぎて声をかけた




藤「あ おい千賀！」
『二番線、発車いたします』




...あいつ何言ってんだ







終電にしては人が多い車内

端をみつけて腰を下ろす







ふー









「「「「「「「ドンっ！！！！！」」」」」」」








急に爆発音がして車内が揺れた








なに？








ざわざわ

「何の音？」

「なんか煙すごいよ」

「駅のほうかな」



『緊急停車します』






ケータイをみると爆破やテロのニュースでいっぱいだった





どうやら反対側のホームの電車で爆破事故が起こったらしい








ならいっそのこと東京ごとぶっ放してくれたらいいのに
と思った


それとまた


なんで自分はこんなに落ち着いていられるんだろう
とも思った









別になんにも興味がないわけじゃないよ

無関心なわけじゃないよ、









ただ俺たちは、ずっとこっち側で
大丈夫なはずじゃん。




インスタを開いてみてもまた
シェアハウスが爆破されただの東西線が燃えただの
爆破やテロのことばかり



いつものくだらないストーリーは？

意味のない自撮りは？

フェスに行った投稿は？

いつもの日常は？





見てるか見てないかわからないような速度で
スクロールする







あ 北山投稿してる
珍しいな…







天井…？







１０分前と記しているその投稿は
無機質な天井を撮った写真だった








じわ







あれ？



ガタンっ
『大変お待たせしました。中野まで運行いたします』









俺、なんで泣いてんだろ…








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