専売特許-11 ページ36
.
『おはようございます、梓さん』
「あーAちゃん!おはよう。今日は午前中学校?」
『はい、頭から3限まで』
「そっか、お疲れ様!」
夕方前の入れ替わりの時間。
午前の講義を終えて少し早めにポアロに出勤した私は、テーブルを片付ける梓さんに挨拶をしてすぐにバックヤードへと向かった。
安室さんは今日一日シフト入ってたし今の時間休憩中だよね…
静かにドアを開けてみれば、椅子に腰をかけたまま目をつむる安室さんがいた。
『………寝てる…』
安室さんが休憩中に寝てるなんて珍しい、と思いながら音を立てないように近づく。
それでも少しも起きる気配のない安室さんの顔を思わずまじまじと見る。
まつげ長…肌きれいだし本当に29歳?
相変わらず髪さらさらだし…猫っ毛っぽい…
『きれい』
無意識にそう呟いて、そろりと髪に手を伸ばした。
「寝込みを襲うなんて、いただけませんねAさん?」
『ヒェッ』
髪に触れた瞬間ぱし、と手を取られたかと思えば目を細めて笑う安室さんと目があった。
えっ、起きてたんかい!恥ずかしいことしたじゃん!言って!
『…いつから起きてたんですか』
「勿論最初から気がついてましたよ」
『マジですか…』
そういうところ。そういうところ。
穴があったら入りたい。今絶対顔赤い。冷静に考えたら何しちゃってたの私。
『い、今のは無意識であって別に深い意味はないんでほんと、………すいません勝手に触って………っていうか手放してください…』
思わず空いている手で顔を覆う。
本当に無意識だったんだもん。なんか気持ち良さそうだなとか思って普段意識して触れることなんてないし、ちょっと好奇心に負けたというか。
『あの……安室さん?』
自分だけこんな必死に弁解してるの恥ずかしいから少しくらい反応してほしい。
ちらりと視線を戻せば手は離さないまま俯いて動かない安室さん。
掴まれた手が熱い。
「そんなに好きなんですか」
『え?』
小さく、安室さんの声が聞こえたかと思えば掴まれた手をきゅ、と軽く握られてそのまま安室さんの頬のあたりへ持っていかれた。
「僕の髪、無意識に触れようとするくらい好きなんですか?」
.
1108人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「名探偵コナン」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
山梔子(プロフ) - 真紅さん» 真紅さん初めまして。コメありがとうございます!頑張ります〜(^○^)! (2018年6月20日 0時) (レス) id: 1444a1608d (このIDを非表示/違反報告)
真紅(プロフ) - 面白いです!更新頑張ってください! (2018年6月19日 16時) (レス) id: f5ab8da157 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:山梔子 | 作成日時:2018年5月24日 23時