専売特許-12 ページ37
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安室さんはジッとこちらを見たまま、無言で手を引いた。
すり、と頬を滑って手が横っ髪を潜る。
『あ、あむろさ…』
さらさらと手に触れる髪がくすぐったい。手を引こうにも安室さんがそれを許してはくれない。
「…Aさんなら、好きなだけ触れていいのに」
『っ、』
今までにないくらい心臓がうるさく跳ねたのが分かった。
触れられた手からその音が伝わってしまうんじゃないか、とかそんなことを考える。
「Aさん、」
心臓、持たない______
「安室さーん！そろそろ休憩終わりの時間…」
『うわぁああっ！！！』
「？Aちゃんどうしたのそんな隅っこで壁に張り付いて…」
な、なんて言うタイミング…！
急にばん、と開いたドアから少し間延びた声と一緒に覗いた梓さんの顔を見て瞬間で部屋の隅に飛び跳ねた。それはもう壁にめり込む勢いで。
ああ…私は何を………
「何かあったの？安室さん」
「さぁ、なんでしょう」
『な、なんでもないです。そう、虫！虫がいたように見えてつい飛びのいたと言うか
あ、安室さんの休憩終わりなら私も入れ替わりの時間ですよね！すぐ行きますはい！』
安室さんが余計なこと言う前に無駄に張りのいい声で返事をして、エプロンを引っ掴んで身につける。
不思議な顔をして部屋を出た梓さんに続いて、安室さんと顔を合わせないようにそそくさと部屋を出た。
『はぁ〜………びっくりした……』
まだ顔が熱い。
安室さんは自分の顔の良さ自覚してなさすぎでは…いや、あの人のことだから自覚した上で私の反応見て楽しんでるのかも…
しかもあんなことがあったせいでプレゼントのこと聞くの忘れたし…
………うん、もう少し気持ち落ち着けてからにしよう
多分今安室さんの顔見れないし。
タイミングがタイミングだったけど、梓さんが来てくれてよかったかもしれない。
『んっとにタチ悪いなぁ………』
今までに、あんな彼に何人の人が落とされて来たのか。そんなふうに考えて少しだけ心がもやもやとした。
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山梔子(プロフ) - 真紅さん» 真紅さん初めまして。コメありがとうございます！頑張ります〜(^○^)！ (2018年6月20日 0時) (
レス) id: 1444a1608d (このIDを非表示/違反報告)
真紅(プロフ) - 面白いです！更新頑張ってください！ (2018年6月19日 16時) (レス) id: f5ab8da157 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：山梔子 | 作成日時：2018年5月24日 23時
