勘違いの始まり-13 ページ24
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『きれい、』
昼間の太陽とは違った煌めきが目の奥に弾ける。
下にできている大きな影と夕陽のオレンジのコントラストはまるで絵画のようだった。
「好きなんです」
『え?』
「ここの、ここから見えるこの景色」
足を組んで窓の枠に頬杖をつく安室さんの横顔は、優しいような、悲しいような顔に見えた。
何処かに、消えてしまいそうだ
ただ漠然と、そう思った。
たまに安室さんが全然知らない、遠い存在の人のように感じ時がある。いつものただニコニコしているだけの安室さんじゃない、もっと奥の方に感情がちらついているような
『この景色は、安室さんの宝物ですか?』
「……そうですね。昔に、友人と一緒に見たんです。いつ見てもここの景色は変わらなくて、あぁ、今日もこの国は生きていると思うんです」
『……』
瞳のアイスブルーが、揺れていた。
手元の携帯に視線を落とす。
ゴールドベースに、青い石の埋め込まれた四角いストラップがチカチカと光を反射していた。
..
_どれにしましょうか。
_うーん、迷いますね…あ。この四角いゴールドのやつ、なんか安室さんっぽい。ほら、青い石も付いてますし安室さんの髪と、目の色と同じで綺麗ですよ。
_…そうですか?………じゃあ、僕はそれで。Aさんは…同じ種類のシルバーの方で。
_形同じでも石の色違うんですねぇ…これは…黄色?オレンジ?
_琥珀色、っぽいですね。Aさんの瞳の色と同じでしょう?……で、はい。
_?交換するんですか?
_お互いの色を持っていた方が、なんだか恋人らしいでしょう?
..
「今日は楽しんでいただけましたか?」
『えっ?あ、はい…楽しかったです』
「それはよかった。約束通り、満足していただけたようで」
『そういえば、最初にそんなこと言ってましたね』
安室さんの声に弾かれるように顔を上げれば頂上を過ぎていた。ゴンドラの中はまた夕日が隠れて少し薄暗い。
それでも、安室さんの顔ははっきりと見えていた。
「……Aさん」
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山梔子(プロフ) - 真紅さん» 真紅さん初めまして。コメありがとうございます!頑張ります〜(^○^)! (2018年6月20日 0時) (レス) id: 1444a1608d (このIDを非表示/違反報告)
真紅(プロフ) - 面白いです!更新頑張ってください! (2018年6月19日 16時) (レス) id: f5ab8da157 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:山梔子 | 作成日時:2018年5月24日 23時