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ジョンデくんよりも数段暗いさらさらの茶髪を見送ってから、ハナの方に視線を戻す。
と、やっぱり茹でダコ並みに頰を紅潮させていた。


「う〜…ベッキョンくんかっこいいよお…」
「はいはい笑」
「めっちゃいい匂いするし…」
「よかったねえ」
「Aのおかげで朝から幸せ〜」


そう。
ハナはべくちゃんのことが好きなのだ。


よりによって何でこんなに可愛い子が
あんな口悪でお調子者でうるさいビーグル犬みたいな奴に惚れたんだろう…


家の方向が同じ私とべくちゃんは
元から一緒に下校することが多かったけど、
ハナがべくちゃんを好きだって知ってからは
私が何とかうまい風に話を丸め込んで、3人で帰るようになった。


「てか、ハナこそ何で告白しないの?」
「私はいーの。まだそんな仲良くもないし」
「ええー…」
「振られるのが目に見えてるもん。私の場合は」

そしたら気まずいし、とハナは小さく笑う。


ハナは可愛いし、ザ・女の子って感じだし
意外といけるんじゃないかなあ、なんて私は思ってるんだけど。


「今は一緒に帰れるだけでじゅーぶん!」


そう言ったハナに、そっかあ、とだけ呟いた。





.



まあ、どんだけ好きでも叶わないもんは叶わない。
重々承知してはいる。
私だってハナと一緒で、凄く付き合いたいって訳でもない。


と。思ってはいたけど。



神様は案外、悪戯がお好きなようで。



結構誰でも、少女漫画のヒロインちゃんに
なれたりするのかもしれない。

それは何の変哲もない日常に、偶然に。
予想もしていなかったタイミングでやって来る。



.

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作者名:ゆ に | 作成日時:2017年3月28日 2時

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