太陽と純恋 Ⅰ (ページ5)

今日:6 hit、昨日:2 hit、合計:11,567 hit

ep.4 ページ5

.

次にAは、教科書を買うために、フローリシュ・アンド・ブロッツ書店に来ていた。

「うぅ、人が多いよ」

そう思いつつも店内に入り、必要な教科書を揃えていく。するとその時、ドンッと誰かにぶつかった。

「わっ！」

倒れる。そう思ったAは目をギュッと瞑った。

しかし、身体に痛みは無く、Aは恐る恐る目を開けた。

「大丈夫かい？」

後ろから声が聞こえ振り向くと、そこにはとても綺麗な赤毛の男の子がAを支えてくれていた。

Aは体勢を直して、急いでお礼を言った。

「あ、ありがとう」

助けてくれた男の子はニッコリ笑って｢どういたしまして｣と言った。

「ごめんよ、平気かい？」

すると、ぶつかって来たであろう男の子が後ろから話しかけてきたので、「大丈夫」と言う為にAは振り返った。

その子を見てAは驚いた。

それもそのはず。さっき助けてくれた男の子とまったく同じ顔をしていたのだ。

「おい、フレッド、ちゃんと周り見ろよ」

「いやぁ、悪い悪い。パーシーにいたずら仕掛けるのに夢中になってたもんで周り見てなかったわ」

「ったく。もし誰か怪我してたらどうすんだよ」

「なんだよ！そういうジョージだってさっき外で走り回って男の子にぶつかってたじゃないか！」

そして二人はしばらくぎゃあぎゃあ言い争いを始めたが、その光景をぽかんと見ていたAに気づき、程なくして言い争いをやめた。

「あー、さっきはごめんな。俺はフレッド、よろしく。んで、こっちが」

「ジョージだよ、よろしく」

そう言って二人はAに手を差しのべた。

「う、うん、よろしく。私はA、A・スターチス」

Aは差し出された手を順番に取り二人と握手を交わした。

「あのー、二人ってもしかして」

まだこの状況を掴めず戸惑うAに二人はニヤっとして

「｢あぁ！俺たちは双子さっ！｣」

と、二人同時に言った。

同じ顔で同じ事を言うもんだからAは思わず笑ってしまった。

「すごいね、息もピッタリ」

「まったくだぜ、ジョージはいつも俺のマネばっかするんだ」

「それはこっちのセリフ」

「なんだと？」

「お？やるか？」

そして二人はまた、くだらない言い争いを始めた。

それが面白くて、Aは肩を震わせてクスクス笑った。

.