太陽と純恋 Ⅰ (ページ39)

今日:7 hit、昨日:2 hit、合計:11,568 hit

ep.38 ページ39

.

「ロン！なんでもいいから何かして！」

ハリーの言葉にロンはハッと我に返ったが、何をすればいいのか分からずオロオロとしていた。

「何って何を！？」

「なんでもいい！はやく！」

ロンは急いで杖を取り出した。自分でも何をしようとしているのか分からずに、最初に頭に浮かんだ呪文を唱えた。

「ウィンガーディアムレビオーサ」

その瞬間、棍棒がトロールの手から飛び出し、空中を高く高く上がって、ゆっくり一回転してからボクっという嫌な音を立てて持ち主の頭の上に落ちた。

トロールはフラフラしたかと思うと、ドサッと音を立ててその場にうつ伏せに伸びた。倒れた衝撃が部屋中を揺すぶる。

「これ、、死んだの？」

ハーマイオニーがやっと口を開き、ハリーに聞いた。

「いや、ノックアウトされただけだと思う」

ハリーは屈み込んで、トロールの鼻から自分の杖を引っ張り出した。灰色の糊の塊のような物がベットリと着いていた。

「うぇ、トロールの鼻くそだ」

ハリーはそれをトロールのズボンで拭き取り、怪我をしたAの元へ駆け寄った。

「A、大丈夫？腕、酷い怪我だよ」

「平気だよ、ちょっと掠っただけだから」

「おいおい冗談じゃないぜ？これがちょっとだって！？君おかしいよ、、だってこんなの、大怪我じゃないか！」

Aの言葉にロンは驚いたように声を上げた。

「ロン静かして、Aの傷に響くでしょ」

「あ、ごめん」

ロンはハーマイオニーの言葉に罰が悪そうな顔をした。

するとその時、急にバタンという音がして、バタバタと足音が聞こえた。四人は慌てて顔を上げた。

まもなくマクゴナガル先生が女子用トイレに飛び込んできた。そのすぐ後にスネイプ、最後はクィレルだった。クィレルはトロールを一目見たとたん、ヒーヒーと弱々しい声を上げ、胸を押さえて床に座り込んでしまった。

マクゴナガル先生は四人を見据えた。Aはこんなにも怒った先生の顔を初めて見た。唇は蒼白で、瞳は爛々と揺れている。

「一体全体、あなた方はどういうつもりなんですか」

マクゴナガル先生の声は冷静だったが、怒りに満ちていた。

「殺されなかったのは運が良かった。寮にいるべきあなた方がどうしてここにいるんですか」

Aはマクゴナガル先生の言葉に俯いた。しかしその時、隣から小さな声がした。

.