組織 ページ5
それから二年が経った。
「ねえモトジロウ、私はいつ組織へ連れていかれるの? いつまでここにいられるの?」
ついに両親の前以外では先生などと呼んでくれなくなったお嬢様は梶井の背を椅子にするのも飽きたのか、自分で縁側へ座布団を引っ張ってきて座った。
座る者のなくなった椅子はむくりと起き上がると、お嬢様のとなりへ座った。
「それは僕にもわかりませんねえ」
お嬢様も察しておられるのだろう、いつかはそうなるのだ、と。
結局はお嬢様もかぐや姫のようなものだ。いづれ月から迎えがやってくる。そうなれば、僕も組織へ帰らなければならない。
僕に異能力があることが分かってから、組織の仕事に出ることが多くなった。お嬢様も十二になることだし、もしかしたら、そろそろなのかもしれない。
今は組織の状態が不安定だ。絶対的に服従せねばならない首領が無茶苦茶な命令をすることがあって、逆らえば殺される。かく言う梶井もその影響を受けていて、常人がやると自爆テロになってしまうような大規模な爆破の仕事が回ってくる。
お嬢様の言った通り、梶井が持っていたのは檸檬爆弾でダメージを受けないという異能力。
森幹部から命令が下ったのが、其れから3日後のことだ。
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作者名:さなえ@Love伊織 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/sanaeEs/
作成日時:2017年6月29日 13時