炎情カタルシス

生きる希望-past- ページ9

「じゃあまたね。」









彼の連絡先が入った

携帯を握りしめ駅のホームに向かう。

彼は朝体調が悪くて

少し遅れたためあの時間に

あの場所にいたらしい。

学校へ向かった紫耀くんとは逆に

私は今日はもう家へ帰ることにした。



別になにか解決した訳では無い。

家に帰れば

母や父に嫌味を言われ

学校へ行けば

嫌がらせを受けるのは

明日からもきっと変わらないだろう。




だけど

紫耀くんと出逢ったことで生きたいと思った。

また彼に会いたい

彼と話がしたい

彼のことを沢山知りたい

そう思ったから。








「ただいま。」








帰ってくる筈も無い言葉が

玄関に虚しく響く。









今日はありがとう。



新しく追加された友達の欄から

メッセージを送る。

この胸がドキドキするような高まる感じ

生まれて初めての感覚。

恋というものがイマイチ分からないけど

完全に私は彼に夢中になってしまったんだ。



紫耀くんから返事が帰ってきたのは夕方のことで

無事帰れた?とか

大丈夫?とか

相変わらず心配ばかりで

通知が来る度に頬が緩む。




だけどよく考えれば

あんなにイケメンで頭がよくて優しい彼に

彼女がいない筈無いと現実に戻される。

きっと紫耀くんは誰にでも優しいから

助けてくれただけで

一方的に私が特別な感情を抱いてて

叶わない想いだと思うと

その夜は中々寝付けなかった。

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