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決別 ページ35

「帰らなきゃ。」





ゆっくりと勇太の身体から離れて

私は上着を羽織った。






勇『一人じゃないからな、もう俺がいるんだし。』





ニコッと笑う勇太が頼もしかった。






「私ちゃんと紫耀に話す。

明日また絶対来るから待っててね。」





送って行くよと言う勇太を

半ば強引に説得して一人で夜道を走る。

そんなに大した距離じゃないし

勇太は相当心配してたけど

家に帰るまで少し一人の時間が欲しかった。









勇太の言葉に驚いた。

だけどそれ以上に

紫耀以外の男の人を受け入れた自分が

信じられなくて

ずっと抱えていた不安が軽くなった一方で

何処か寂しい気もした。




自分が本当に

紫耀以外の男の人を愛せる気がしてしまったから。









そっとドアを捻ると

鍵は開いたままだった。

そっとリビングに入ると

ソファに寝そべった紫耀の姿があった。




私に気づいた紫耀は

ふにゃっと表情を緩ませて

おかえりと微笑んだ。




そんな姿を見て

胸が痛んだ。

私はやっぱり彼から離れられないかもしれない。




だけど、ちゃんと言わなければならない。

もう逃げないって決めたから。

大丈夫、私には勇太がいる。





「紫耀、あのね?

私…」





意を決して口を開いた。

それを遮ったのは紫耀だった。





紫『言うな。

Aは俺から離れていかんやろ?』






胸が締め付けられるような思いだった。

紫耀には私がこれから言おうとしていた事も

考えている事も全てお見通しなのかもしれない。




正直、彼の言葉が嬉しかった。

私を必要としてくれている事を

再確認できたから。




だけどこのままじゃ

また今までと同じ繰り返しじゃないか。




私は変わらないといけない。

待ってくれている勇太の為にも

紫耀の為にも、自分の為にも。




「私もう紫耀と一緒にはいられない。

ずっと弱ってる紫耀に漬け込んで

そばにいた。



お姉ちゃんと私を重ねてる紫耀の為でもあると

自分に言い訳して。



だけどこんなの誰も幸せになれない。



私たちもうお互い

現実と向き合ってちゃんとそれぞれ

大切だと思える人と一緒に過ごすべきだと思う。









紫耀くん、さよならだね。」

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紫樹(プロフ) - 神宮寺と主人公がどうなっていくのかすごい気になります^ ^ 頑張ってください!応援してます! (2017年3月5日 14時) (レス) id: 6e3ce78be8 (このIDを非表示/違反報告)
恋(ren)(プロフ) - りこさん» ありがとうございます! (2017年2月25日 14時) (レス) id: 4779cb5bc5 (このIDを非表示/違反報告)
恋(ren)(プロフ) - まいさん» ありがとうございます! (2017年2月25日 14時) (レス) id: 4779cb5bc5 (このIDを非表示/違反報告)
りこ - 複雑ですねー。ドキドキしました! (2017年2月23日 16時) (レス) id: cd0a4f2848 (このIDを非表示/違反報告)
まい(プロフ) - 毎回楽しみに読ませて頂いてます!更新頑張ってください!! (2017年2月20日 22時) (レス) id: 9eda4f6ff0 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:恋(ren) | 作成日時:2017年2月11日 19時

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