40話 ページ41
シウside
鍵から指を離して、エマに促す
『エマ。あの時を思い出しながら、ゆっくり、呼びかけてみな』
エマ「う、うん。ありがとう、シウちゃん」
『いいよ別に』
君が。君が、世界の生贄にならなくて済むなら
”世界の救世主”としてでなく、”ただ一人のエマ”として、選択できるようになるのなら
礼の言葉なんていらない
私はただ、一人に運命なんてものを背負わそうとする、世界が嫌いなだけだ
…私を私たらしめ、マスターたらしめ…私を消費して、私を繋ぎ止め続けた、情があるだけだ
エマが鍵を握りしめて祈るようにすると、鍵から光があふれる
やがておさまると、黒妖精たちが姿を現した
ナヴィ「昨日ぶり〜」
『そうだね、昨日ぶり。疲れは無い？』
ナヴィ「ぐっすり眠れたからねぇ」
『そっか』
呼び出されたナヴィとそれとなく会話する
陛下たちは驚いているけれど、まぁいいか
っと、
『エヴァン、剣下げよっか。そしてヒンメル、おはよう』
エヴァン「チッ」
ヒンメル「…おやすみなさい」
『まぁそんな感じで』
エマ「そんな感じって…みんなお願い。陛下の御前だから」
人に歪められ、裏切られ、染められ
そんな彼らに、人の偉い卑しいなんて関係ないに決まってる
陛下の御前だから。は、こちらの、人の都合だ
彼らは人の社会には生きていない
人のルールは本来、彼らを縛る効力を持たない
それでも、それを聞いて欲しいのなら。理解して、寄り添って、歩み寄れ
それが、君が彼らの主として最低限しなければならない義務だ
背負ったものは、もう二度と下せないぞ
インテル「これが…黒妖精。成れの果てか＿＿」
成れの果て。まぁそうだね
個人の感覚としては、人の業の成れの果てだろうけど
黒妖精について、はもうお互い知っていることだ
その説明は省いていい
ナヴィ「ねぇさ、シウ」
『なに？』
ナヴィ「そいつは呼ばないの？」
疑問符を浮かべる周り
けれど、ナヴィの質問の意図が分からない私でもない
変わらぬ微笑みを浮かべたまま、ナヴィの目を見返す
クロウ「”そいつ…？」
エヴァン「お前の黒妖精はこの場に呼ばんのか。そこにいるのだろう」
エマ「え！？」
彼らが示すのは、私の右手の甲
静かに問いかける黒妖精たちに対し、みんなは各々驚いている
そう言えば、黒妖精がいることについては話してなかったな
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ルウ(プロフ) - 新作おめでとうございます！「魔界の異邦人」や「前世は柱、今世はヒーロー？」も応援しています！体調に気を付けながら更新頑張って頂けたら嬉しいです。 なんといっても、零月 さんの作品は神作だらけですからね！私の生き甲斐です！ (9月21日 22時) (
レス) id: e1051b8db4 (このIDを非表示/違反報告)
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