14話 ページ15
シウside
いくら黒妖精が憑いているとはいえ、相手は訓練も何もしていない彫刻師
成人男性で、彫刻と言う職もあって力が強く体格がいいとしても、前世で散々エネミーやらサーヴァントやらから生き残って、彼らから鍛えられもした私からすれば素人だ
戦闘の勘も鈍ってはいなく、むしろあの旅を演りきった私はそこらの傭兵より経験値があるんではないかとさえ思える
さらに言えば、紋様術師は戦闘職
黒妖精との結びつきも薄い彼に負ける道理はあるはずもなく、難なく黒妖精を倒すことができた
無事元に戻ったレノさんにひとまず安心し、治療をしておく
とはいえ、あとでしっかり診てもらう必要はあるだろうけど
まぁ、これなら仕事にも支障はないだろう
彼もマイスターの一人だ、夢に対する打たれ強さには目を見張るものがある
『治療したけど、後で医療班行きだね』
エマ「レノさん！大丈夫ですか！？」
レノ「エマちゃん…？僕は＿＿＿」
無事でよかった
そう、エマが言ったところで、彼は実に申し訳なさそうにする
レノ「…ごめん、エマちゃん。僕は…ずっと自信がなくて、それで＿＿」
『はいストップ』
レノ「むぐっ」
弱音を暴露しようとする口を手でふさぎ、呆れつつも言い聞かせるように目を合わせる
頑張れ？彼は頑張ってるじゃあないか、いくらでも、何度でも
きっと大丈夫？明日何が起こるのなんて誰にも分らない。明日、何気ない日常は燃やされるかもしれない。真っ白になってしまうかもしれないのに
何故自分なのだと、黒妖精に憑かれて吐き出していた彼に、私はその言葉は言えない
でも、彼と私は違う
私みたいな、独り舞台の人形じゃあない
なら。だったら、ちょっと擦り傷を負うくらいで、それなりに走れるはずだから
私みたいな走り方なんてする必要はないから
『別に自信なかろうが投げ出そうが構わないよ。誰しも順風満帆に夢かなえられるわけないんだし。夢見るだけ見て、あーあって絶望するのなんて、当たり前でしょう』
エマ「シウちゃん！」
『でも、まぁさ。人生の最期の最期に、ちょっとくらい達成感欲しいじゃない。自分はこれを成したんだって、ちっぽけでも誇りたいじゃん
だから、無駄でもなんでも、足掻いて自分なりに満足したいのが人間なんだから
一人の夢が潰えたとて、世界のほとんどはそんなの知りもしないんだ
気負わずとは言わないけど、夢見るのは自分なんだし。自分が満足できるようにしなよ』
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ルウ(プロフ) - 新作おめでとうございます！「魔界の異邦人」や「前世は柱、今世はヒーロー？」も応援しています！体調に気を付けながら更新頑張って頂けたら嬉しいです。 なんといっても、零月 さんの作品は神作だらけですからね！私の生き甲斐です！ (9月21日 22時) (
レス) id: e1051b8db4 (このIDを非表示/違反報告)
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