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Y side
「ミツ、」
「ん?」
「恋人って、もしかして大倉くん、とか?」
本人には答えてもらえなかったことを、ミツにぶつけた。
「ひみつ。恋人が誰かは誰にも言う気ねぇんだ。あんま良いことないって知ってるから。じゃあ、お疲れ。」
バタンとしまる扉。それを黙って見送った。
ミツが太輔を好きなことは多分メンバー全員知っていた。そして俺だけがミツから聞いたことがあった。どれだけ距離を取ろうとも、ミツは太輔を想い続けた。離れた反動と言えるほどに近くなった俺と太輔の距離をミツはどう思っていたのだろう。ここ数年は聞くことはなかったけれど、確かにミツは太輔のことを好きだったはずだ。
俺はミツの気持ちを知りながらこの距離を利用した。そして手にいれた。本当は太輔もミツのことが好きだった。だけど俺が、諦めさせた。俺のところへ来るように誘導して。ミツが出来ないことをした。そう思って優越感に浸った。
それ、なのに。
太輔に関して"関係ない"とミツが言うことがあるなんて。想定していなかった。もっと傷ついた顔をするものだと思っていた。それがこんなことになるなんて。大倉くんが動いたことはなんとなく分かっていたけれど、ミツのなかでこんなにも大きくなっているなんて思いもしなかった。
「ははっ、何やってんだか…」
力が抜けた。もっと満足感を得られるはずだったのに。後輩や先輩、スタッフさんから愛されて、なんでもできるミツから最愛のものを奪ってやりたかった。それで勝った気になっていた。そんなことで、ミツに勝てるわけでもなかったのに。
「最低、だな。」
涙が溢れたけど、拭ってくれるものはない。
空しい独り言だけが、楽屋に響いた。
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imtr(プロフ) - mさん» コメントありがとうございます!同じように思ってらっしゃる方がおられてなんだか安心しました。少しでもこのお話が気晴らしになっていれば嬉しいです! (2021年2月22日 23時) (レス) id: 768e339076 (このIDを非表示/違反報告)
m(プロフ) - 私もその発言にもやもやしていました…この話を読んで少し心が軽くなった気がします!素敵なお話をありがとうございました! (2021年2月20日 15時) (レス) id: 81c528a286 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:imtr | 作成日時:2021年2月18日 20時