カスミソウの君へ＿skab

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アラームの音で起きて、いつも通り隣に抱きつこうとした、のに。
阿部ちゃんはいなかった。
あれ、そういや体どうなっちゃったんだろうと慌てて寝室を出れば


「おはよ。」


と、いつも通り、それこそ男の子な阿部ちゃんになっていた。


「おお、おはよ。」
「体、本当にちゃんと元通りになった。」


にこにこしてる。
そりゃ安心するよね。
戻んなかったら俺もどうして良いか正直分かんないもん。


「朝ご飯作っとくから支度して来たら。」


その言葉に甘えて今日仕事がある俺は準備をした。
それから玄関で、これまたいつも通りのいってきますのチュー。
阿部ちゃんがさり気なく屈んでくれる俺らの通常スタイルだった。





仕事から帰ってきたらこれまた飯食ったり風呂入ったり。
で、まったりタイムはＤＶＤ鑑賞に決定。
おしゃれな映画とかじゃなく、俺の好きなアニメのやつだけど。
ほら、今度映画化するからおさらいしとくと何かと仕事で話す時にも役立つはずなんだよ。

そんな選定理由のアニメをソファに並んで鑑賞スタート。


「んははっ、やー、さすが俺の雪ぴょん。」
「佐久間の嫁ヤバい。」
「そう、つんつんつんデレってやつ。」


厳密にはもっとつんの割合が多そうだけど。
なんて楽しみつつ三次元の嫁の腰にも腕を回す。
残念ながら肩を抱き寄せるのは身長差の都合上長時間は無理だからね。


「ねえ、佐久間。」
「んー？」


もしかして暑いとか言われる？
でも離さないぞアピールできゅっと細い腰を引き寄せる。


「昨日の薬、もう一回飲んでも良い？」
「へ？」


予想外過ぎる言葉に俺の口はぽっかり開いたまま。


「やりたいことがあって。」
「やりたいこと…？」


女の子の姿で？


「あ、変な意味では無いから。」


そこはソウイウ意味で良かったのに。


「良い？」
「別に良いけど…。」


何をするのかはてなマークのまま阿部ちゃんの背中を見送る。
阿部ちゃんはキッチンのカウンターに置いてある瓶と水を汲んだコップを取ると寝室に消えた。





「ただいま。」
「おかえり。」


反射的にそう返して顔を振り向かせれば女の子な阿部ちゃんの登場。
相変わらず体がちっちゃくなるのにあわせてさっきまで着てたティーシャツで彼シャツよろしくな姿になっている。


「それでやりたいことって？」

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